円安容認?懸念? G7、緊急声明発表の背景とは
G7(主要7ヶ国)財務相・中央銀行総裁は12日、為替に関する緊急声明を発表した。声明はまず、各国の財政・金融政策について、「国内目的の達成に向けられており、為替レートを目標にはしないことを再確認する」と明記した。そのうえで、各国が自国通貨を安く誘導し、いわゆる「通貨戦争」に陥らないよう申し合わせた。
海外紙は、日本の金融政策など、今回の緊急声明発表の背景について着目した。
まず日本の金融政策については、昨年末から円安傾向が続いていることから、ドイツや韓国などが間接的に「通貨戦争」の懸念を表明していた。解散総選挙の実施が決まった11月から、次期内閣の金融緩和への期待などで円安傾向はあらわれていたものの、12月に発足した安倍政権が、日銀への緩和圧力を強めている点などが問題視されているようだ。
しかしニューヨーク・タイムズ紙は、ユーロ圏でも同様に通貨切り下げ策が支持されていたことを指摘。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、国債の無制限購入による資金大量放出を米英が行なっており、同様に新興国から問題視されていると指摘した。「通貨戦争」の危惧は「大げさ」だと評する当局者もいる。
また、12日には、米国財務省のブレイナード国際問題担当次官が「成長を再活性化しデフレを終わらせるための日本の努力を支持します」と発言していた。ただしブレイナード次官は、為替市場への人為的介入には釘を刺している。
G7声明は、こうした動きをうけて発表されたものである。麻生財務相も、「我々がデフレを克服するために採っている手順が、為替市場に影響を与えることを目的としていないと、適切に認識されている」と述べた。
しかし、これらの声明が、円安傾向への容認なのか懸念なのか明確でないことから、円相場は乱高下した。ニューヨークでは13日、2010年5月以来の最安値に近い1ドル94.41円まで落ちたかと思いきや、数時間後には2分間で1%という急騰を見せ、92.95円まで達する有様であった。