白川日銀総裁辞任表明 次期総裁への海外紙の評価は?

白川日銀総裁辞任表明 次期総裁への海外紙の評価は?  日銀の白川方明総裁は5日、任期を3週間残し、3月19日付けで辞任する意向を表明した。5年前に総裁人事を巡って国会が紛糾したため、白川総裁の任命は副総裁2人よりも遅れており、総裁は先に任期満了となる副総裁と合わせる形で辞任することにしたと語っている。

 辞任について白川総裁は、政府からの圧力によるものではないと否定している。しかし、徹底的な金融緩和路線を掲げる安倍政権の発足以来、緩和に慎重な白川体制はすでにレームダック(死に体)化していたと海外紙は報じる。放漫財政とバブルを懸念し、歴代政権の緩和策に反抗し続けてきた白川氏について、フィナンシャル・タイムズ紙は右から左まで超党派の政治家たちから「戦っていない」と非難されていことを紹介した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、安倍首相が以前、白川氏の任期が「幸いにも」まもなく終了すると発言したことを指摘した。ニューヨーク・タイムズ紙は、「白川氏は物腰が柔らか過ぎる」「もっと脅迫的修辞を利用した方が、その分本物のお金でしなければならないことは減る」との、外国人金融関係者の評価を伝えている。

 安倍政権は後継総裁について、緩和政策での一致のほか、市場への発信力や、大規模組織の管理経験を重視したい意向を表明している。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、後継と目される人々の評価を詳しく伝えた。同紙によれば特に有力なのは武藤敏郎(大和総研会長)・岩田一政(日本経済研究センター理事長)・黒田東彦(アジア開発銀行総裁)の3氏で、中でも黒田氏が最有力とのことである。各氏の問題点としては、武藤氏は国際金融での経験が少ない、英語が下手、元財務(大蔵)官僚であり野党の賛同を得にくい。黒田氏はやはり元財務(大蔵)官僚で、アジア開発銀行のほうの後任総裁が問題になり、インドや中国に総裁職を取られる恐れもある。岩田氏は2007年、のち酷評された利上げ策に唯一反対していた政策委員会メンバーであるが、その前年には緊縮の動きに反対してはいなかった。また、2008年までの日銀副総裁であった武藤氏と岩田氏は、デフレを脱却できていない責任を問われる立場とも言える。

 政府は今月中に総裁候補を指名するとみられる。衆参両院で承認を必要とするため、三大野党とすでに調整中であるという。また、5年前のような候補払底による紛糾を避けるため、「事前にニュース報道された人物は指名しない」との慣例には従わない旨で、民主党と合意したという。

Text by NewSphere 編集部