「アベノミクス」をクルーグマン教授が評価 日銀の対応に注目集まる

「アベノミクス」をクルーグマン教授が評価 日銀の対応に注目集まる 安倍首相は13日(日)、NHKの番組に出演し、昨年末の総理就任時から明確にしてきた金融緩和による景気支援策を押し進める決意を述べ、日銀への一層の努力を求めた。

【クルーグマン教授の評価】
 ノーベル経済学賞受賞者である米プリンストン大学のポール・クルーグマン教授は、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムで、安倍首相の進める大胆な財政・金融政策について皮肉交じりに“評価”した。
 近年の世界経済について、先進諸国はいずれも景気の低迷にもがきながら、不透明な先行きを恐れるあまり有効な対策が打ち出せず、ただただ質素倹約に励むしかなかったと指摘。ところが驚いたことに、「変化しない」ことで知られた日本が、他に一歩先んじて大胆な行動を起こしつつあると評価している。巨大な債務や人口の高齢化という悪条件を抱え、余裕のなさでは他国にひけを取らない日本だが、今のところ国債の評価を下げることもなく円安傾向が進むなど、市場の期待を膨らませていると評価した。ただし同氏は、安倍氏の外交政策のまずさに言及し、今回の緊急経済対策も古いタイプのバラマキ政治に近いという悲観的な見方も紹介している。意図はどうあれ行動は正しい、ともとれる皮肉な“評価”となった。

【安倍氏と日銀の動向】
 フィナンシャル・タイムズ紙の報道によれば、安倍首相はNHKの番組中で、政府と日銀の連携強化について、2%の物価「目標」を、文書に明記した上で取り交わす必要があるとの立場を示した。ただ日銀は、物価上昇について「1%」を「目途」という表現を堅持している。1月21~22日に見直し再検討の会合を控えている日銀に対しては、「(この表現には)責任が伴わないし、強い意志が感じられない」と牽制。さらに、この「目標」達成の時期についても、「「長期」は長いと思う、やはり「中期に」ということで政策を売っていかないと、市場が反応しない」と追い打ちをかけたという。

 これに対し、消息筋によれば、日銀サイドは、将来的な政策決定への手出しを控える条件つきで、大筋で政府の主張を呑む公算が高いという。

 では、2%実現に向けて、日銀はどんな手を打つのだろうか。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、12月に決定された10兆円の基金増額については、市場はすでに織り込み済みと分析。市場からは「無期限、無制限の金融緩和実施」が必要だとの声が上がっているとした。その上で、第一に考えられるのは、国債買入の拡大だが、この「常套手段」は市場の失望を招くとみられる。事情通の分析によれば、短期米国債の買取りによる円高対策の現実味も強く、さらに、補完当座預金制度について、超過準備預金への付利を、現在の0.1%から0%に引き下げる可能性もある。しかし、後者については、議案が提出されたものの、8対1で否決されたという。ただし、反対票を投じたなかにも、議論を尽くしたうえで賛成の可能性があるとした委員もおり、可能性がゼロではないことが示唆された。

Text by NewSphere 編集部