アリババ「独身の日」、過去最高の3.5兆円も成長に陰り 今後に不安も
◆目新しさがなくなった? 伸び率が鈍化
過去最高を記録したが、実は伸び率は昨年の39%から27%に低下し、この10年の歴史において最少だった。ブルームバーグは、景気の減速、市場の飽和、また京東商城(JD.com)やPinduoduoなどの他社との競合で、これまでのような記録更新は徐々に難しくなると見ている。
ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、経済成長が減速し、ミドルクラスの財布のひもも固くなったと指摘する。同紙に答えた若者たちは、以前ほどの魅力がなくなった、大量のクーポンや複雑なディスカウントの計算にも疲れてきたと述べており、一部の消費者には飽きられているようだ。
ロイターによれば、アリババの副会長、ジョー・ツァイ氏は、小型家電や化粧品などの売れ行きは堅調だったが、大型家電を含む高額商品の売れ行きは、住宅市場の低迷に伴い、停滞気味だったと述べた。
◆そろそろ曲がり角? カギは海外市場開拓
中国のオンラインセールスの成長は、上海、北京などの東海岸の大都市では鈍化しており、アリババの前四半期の新規ユーザーの75%は「発展途上の」地域からのものだという(ロイター)。また、貿易で中国とアメリカは緊張状態にあることから、アリババは19年3月通期の売上高の予想を4~6%下方修正。株価は今年16%ほど下げている。
成長を維持するため3年前から、ジャック・マー会長は「独身の日」を海外に広げようとしてきた。昨年の中国国外のトップ3市場は、ロシア、香港、アメリカだった。しかし、貿易戦争の影響や、中国企業に消費者向け小型包装物の割引を与えるという条約から脱退する意向をトランプ大統領が10月に示したことなどもあり、アメリカ進出は容易ではない。ただ、シンガポールなど、アジアは順調なようだ(ブルームバーグ)。
マー氏は会長を退任することを表明しており、今年の「独身の日」は最後となった。来年はCEOのチャン氏が会長に就任する予定だ。NYTの取材に答えたアナリストは、アリババを無から何かを創造するのがとても上手い会社と評する。成長が鈍化すれば、ちゅうちょなく次の手を打ってくると同紙は述べており、マー氏が退いた後に「独身の日」がどのように変貌するのか注目したい。
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