海外批評家も絶賛、映画『PERFECT DAYS』 巨匠の描く日常の美、役所の演技力、完璧な選曲…

 ドイツのヴィム・ヴェンダース監督が主役に役所広司を迎えて製作した『PERFECT DAYS』が、海外から高い評価を受けている。日常の小さな出来事の描き方や、主人公が聞く楽曲へのノスタルジーなどが、批評家たちからの支持につながっているようだ。作品は米アカデミー賞国際長編映画賞にもノミネートされており、オスカー獲得の期待も高まる。

◆日常を丁寧に ドイツの巨匠が描くつつましい人生
 『PERFECT DAYS』の舞台は東京。渋谷の公共トイレの清掃員として働く平山(役所広司)の日常と、日々起こる小さな出来事を、『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』を手掛けたヴェンダース監督が、丁寧に描き出している。

 海外批評家からの評価が高い。米映画評論サイト『ロッテントマト』に掲載されたレビューには、「つつましやか」「ミニマリズム」「スロー」などの映画としては物足りない印象を受ける言葉が並ぶが、「新しい生き方の提唱」「魂が洗われる」「美しさの象徴」といった感想が、この映画の奥にあるものを物語っているようだ。

Text by 山川 真智子