葛飾北斎の古今東西への影響を見る…米ボストン美術館で展覧会

ボストン美術館 6月のボストンは街中いたるところにプライド・フラッグが掲げられていた。

◆日本国外で最大級のコレクション
 さて、今回の出展作品はほとんどがウィリアム・スタージス・ビゲローのコレクションからのものだ。ウィリアム・スタージス・ビゲローとは何者なのか。ビゲローは19世紀末から20世紀初頭に活躍したボストンの医師、日本美術研究家であり、のちにボストン美術館理事も務めている。仏教に改宗し、同じく仏教徒となった同郷のアーネスト・フェノロサらとともに日本美術を買い集め、最終的にボストン美術館に寄贈した。ボストン美術館は日本国外で最大の日本美術を所蔵する。

 なぜそれほどまでに日本美術が流出したのか? それは『北斎と応為』著者キャサリン・ゴヴィエ氏の疑問でもあった。氏は『北斎と応為』続編を脱稿しており、次作は混沌とした明治初期の日本とボストン・コネクションについて、応為の霊が道案内してくれるようだ。

葛飾応為作『三曲合奏図』(絹本、ボストン美術館、ウィリアム・スタージス・ビゲローコレクション) 北斎をして「美人画ではかなわない」と言わしめた娘の応為だが、現存する落款入りの作品はわずか十数点と極端に少ない。

 同展示は今月16日までボストン美術館にて開催。10月19日から2024年1月21日までシアトル美術館で開催となる。

Text by モーゲンスタン陽子