選手もピッチでパレスチナの旗…カタールW杯で注目されたアクティビズム

スタジアムの前でパレスチナの旗を持つモロッコサポーター(12月10日)|Jorge Saenz

 12月18日、アルゼンチンの優勝で幕を閉じたサッカーワールドカップカタール大会。さまざまな政治的な問題も取り上げられるなか、選手やサポーターらがパレスチナを支援するアクティビズムも見られた。その詳細とは。

◆論争を呼んだW杯が閉幕
 11月20日に開幕したカタールW杯に関しては、開幕前からさまざまな論争があった。たとえば、2020年にカタールが開催国に選ばれたことに対しての、汚職と賄賂の疑惑。2200億ドルという史上最高額の予算をかけつつ、低賃金の移民労働者を搾取して行われたW杯インフラ整備。カタールが国際的なスポーツイベントを利用して、人権問題などに関する自国の評価を上げようとする「スポーツウォッシング」をしているという批判(ヴォックス)。これらの論争があったものの、欧州ではボイコットやパブリックビューイングの取り止めなどのインパクトは限定的で、透明性と責任に欠けるFIFAという組織の構造上の問題もあり、W杯は無事開幕に至った。

 W杯の決勝は、健闘したモロッコを破ったフランスと、前回準優勝のクロアチアを破ったアルゼンチンとの戦い。それぞれのチームの顔として注目されたキリアン・エムバペ(Kylian Mbappé)とリオネル・メッシ(Lionel Messi)が期待に応えるように大活躍し、試合は延長戦に持ち込まれた。最終的にはPK戦によってアルゼンチンの優勝が決まった。エムバペとメッシはどちらもフランスの名門チーム、パリ・サンジェルマンFC(PSG)に所属するチームメイトだ。ちなみに、PSGのオーナーは、カタールの政府系投資ファンドであるカタール・スポーツ・インベストメント(Qatar Sports Investment)である。

Text by MAKI NAKATA