「フェルメール作ではない」米美術館が『フルートを持つ女』を調査し結論

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 アメリカの首都ワシントンにあるナショナル・ギャラリー所蔵のフェルメールの名画『フルートを持つ女』が、最新の調査で本人作ではなかったと結論づけられた。フェルメールは17世紀のオランダ黄金時代の絵画を代表する画家で、日常生活を描いた風俗画でよく知られている。しかし人物とその作品に関してはこれまで多くの謎があり、今回の調査結果は今後のフェルメール研究に大きな影響を与えるとされている。

◆以前から偽物疑惑も 詳細な調査で判明
 『フルートを持つ女』は1942年にナショナル・ギャラリーに寄贈されたものだが、スタイル的にフェルメール作品としての質と正確さに欠けるとされ、ここ数十年、多くの専門家が本人作であることを否定するようになっていた。

 同館は2020年に新型コロナウィルスによるパンデミックで閉館に追い込まれたのを機に、所蔵しているフェルメール・コレクションの調査に乗り出した。

 同館の専門家たちは、所蔵する4点のフェルメール作品を調査した結果、『フルートを持つ女』と『赤い帽子の女』の2点が怪しいと判断した。どちらもサイズが通常より小さく、キャンバスではなく木のパネルに描かれていたためだ。そこで特別な画像技術で筆さばきなどをチェックしたところ、『赤い帽子の女』はフェルメールのものと一致したが、『フルートを持つ女』は繊細さの点で劣っていたという。(スミソニアン・マガジン

Text by 山川 真智子