「カタールW杯ボイコットする」仏などで拡大、なぜ? 外交ボイコット求める声も

建設中のルサイル・スタジアム(2019年12月)|Hassan Ammar / AP Photo

◆工事作業員が数千人死亡
 では、ボイコットの理由は何か? カタールのワールドカップ開催はなぜ非難されているのか? その理由は3つの点に集約される。

 まず一つめの理由は人道的な問題だ。2010年に開催地に決まってから、カタールではスタジアムをはじめ多くの施設が建設されたが、その工事のために数多くの作業員が死亡している。英ガーディアン紙の2021年2月の報道によれば、その数はパキスタン、ネパール、バングラデシュ、スリランカからの労働者に限っても6500人を超え、フィリピンやケニアなどの労働者も含めれば、もっと膨らむと見積もられている。主な死因は、暑さと転落と心不全だという。(RTL 5 minutes、9/21)

 カタールは砂漠気候で、平均最高気温が30度を超える月は1年のうち7ヶ月、そのうち3ヶ月は40度を超える。通常夏季に行われるワールドカップが今回に限って11~12月にずらされたのも暑さが理由だ。

◆屋外で冷房?!
 二つめの理由は、環境的観点によるものだ。カタールは、このワールドカップのために4~8万席の空調付きスタジアムを8つ準備している。そのうち7つは今回のために新設したものだ。11月とはいえ平均気温は25度であるため空調付きとなっているが、ほとんどのスタジアムには屋根がない。つまりオープンなスペースで冷房を使うことになるのだ。

 カタールはワールドカップ開催中のカーボンニュートラル実現を掲げているが、NGOカーボン・マーケット・ウォッチのデュフラス氏は、信用できるものではないと語っている(ジェオ誌、9/6)。

Text by 冠ゆき