「日本の新年スイーツ」餅も浸透する? ガレット・デ・ロワでお祝いのフランス

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 ここ10年ほどでぐんと認知度が上がった感のあるガレット・デ・ロワ。フランスでは1月6日のエピファニーに食べる風習のあるお菓子だ。このガレット・デ・ロワに匹敵する日本の新年スイーツとして最近ヨーロッパで人気の萌芽が見られるのが「モチ」である。

◆エピファニーの伝統
 カトリックやプロテスタントなどの西方教会では、イエス・キリストの生誕日から12日後の1月6日をエピファニーとして祝う風習がある。日本語では「公現祭」などと訳される祝日で、東方の三博士が幼子イエスに贈り物を持ってきた日とされる。1月6日は平日にあたることが多いため、クリスマスから2度目の日曜日、つまり1月最初の日曜日に祝うことも多い。(ランテルノート

 この日、フランス北部ではガレット・デ・ロワ、南部ではガトー・デ・ロワを食べる習慣がある。最も一般的なガレット・デ・ロワは、アーモンドクリームの入ったフランジパーヌを詰めて焼いたパイで、中にフェーヴと呼ばれる陶製の小さな人形が入っている。ガトー・デ・ロワのほうは、ブリオッシュ生地の王冠型のお菓子だが、ガレット同様フェーヴを入れる。(在日フランス大使館

◆遊び心たっぷりの習慣
 伝統では、集まった人の中の最年少者(大抵は子供)がテーブルの下に潜り、切り分けたガレットを見ないようにして、どれを誰に配るかを決める。フェーヴ入りのガレットが当たった人は王様となって王冠をかぶり、これが男性なら女王を、これが女性なら王を選ぶことになっている。このため、ガレット・デ・ロワを買うと必ず紙製の王冠がついてくる。小さな子供も大人もともに楽しめる遊びの要素を含んでいるため、さまざまなグループが集まりを計画し、結果2度も3度も食べる羽目になるのも珍しくない。

Text by 冠ゆき