CMで歌披露、漫画にも登場……大人気フェデラー、私邸建設ではトラブル

©Roger Federer

◆観光大使として「スイスの顔」になった
 今年に入っても、テニス以外でのフェデラーの活躍は続いている。フェデラーはスイス政府観光局と提携し、スイスの公式ブランドアンバサダーに就任した。コロナ禍のなか、いまこそ、スターのフェデラーに世界に向かってスイスを強くアピールしてもらおうという意図もあるのだろう。スイスの経済紙ハンデルスツァイトゥングによると、4月には、ロンドンのピカデリーサーカスに、フェデラーの巨大広告が出され、観光局は、ニューヨークのタイムズスクエアにもフェデラーの巨大広告を出す計画を進めているという。

 そして4月末は、再び目を引くニュースがあった。日本のドラえもんにも匹敵するスイスの子供向けコミック『グロービ』の最新刊・第92巻にフェデラーが登場したのだ。タイトルは『グロービとロジャー』で、青いオウム人間のグロービとフェデラーが冒険に出かける内容(フェデラーの経験を描写)だ。

 フェデラーは、「子供のころ、私はグロービのシリーズが大好きでした。私の子供たちもグロービの冒険をとても楽しんでいるのはいいなと思います。いま、私自身がグロービの世界の一部になり、グロービシリーズに参加できることを光栄に思います」とコメントを寄せている

◆建設中の私邸で問題が発生
 こうしてテニスもPR活動も精力的に進めているなか、スイスの各メディアは4月、フェデラーの私生活でのつまずきを報じた。フェデラーは現在、チューリヒ湖沿いで、東京ドームのグラウンド面積よりも広い1万8千平方メートルという敷地に私邸を新築している。しかし、建設が一時的にストップしている。フリーペーペーの20ミヌーテンによると、私邸が建つ市は、建築申請の停止を把握しているという。

 建築が中断したのは、スイスの水源保護団体アクア・ビバが、私邸建設により湖沿いに生えている植物に影響が出ると異義を申し立てたためだ。同団体は約1年前にも異議を唱えたが、そのときは反対の要求は認められなかった。

 建設がストップしたのは今回が初めてではない。水道工事をするときに、かつてここにあったレンガ工場の廃材が原因で土壌の約90cmの深さまで汚染されていることが明らかになり、その処理をしなくてはならなかったという。

 アクア・ビバによると、その処理も完全に行われたかどうかは疑わしい。フェデラー氏側は、改定した建築計画書をすでに提出したというが、同団体は、建設自体の中止を求めているのではなく、曖昧な点を解決してもらうことが目的だと話している(スイスのニュースサイト『Nau.ch』)。

 Nau.chには、「環境保護論者がロジャー・フェデラーの建設計画を注意深くチェックするのは正しいと思いますか?」というオンラインアンケートを載せている。70%以上が「もちろんだ。テニススターもほかの人たちと同じ規則に従うべき」と答え、残りは「間違っている。結局は、氏が私邸を建てている市が恩恵を受けることになるのだから」と回答している。

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Text by 岩澤 里美