サッカーはビジネス 欧州スーパーリーグ騒動で見えた金との関係

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 欧州の12の人気サッカークラブが、欧州スーパーリーグ(ESL)の結成を4月18日に発表した。この動きは、有力クラブにのみ安定した収入を約束するものとして、ファンや運営組織、さらには各国の政治家から大きな批判を浴びた。その後参加予定だったクラブのほとんどが脱退を表明。スーパーリーグ構想の実現は遠のいたが、この騒動でサッカーと金の関係に改めて注目が集まっている。

◆金に釣られた? 伝統を忘れたビッグ・クラブ
 ESLに当初参加を表明していたのは、イギリスのアーセナル、チェルシー、リバプール、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナム、イタリアのACミラン、インテル、ユベントス、そしてスペインのアトレティコ・マドリード、バルセロナ、レアル・マドリードだ。

 ESLは、観客動員数の多いトップクラブに有利になる露骨な試みだが、永続的に加盟するチームには対戦が保証され、集客力の高いビッグチームの試合が増える。降格の心配もなく、来年の大会への出場権確保に役立つスター選手に金を払うというプレッシャーも和らぐかもしれない。安定した収入と高い評価が得られることはオーナーにとっては大切だ。

 CNNは、ESLの仕組みは野球のメジャーリーグや、アメフトのNFLに似ており、放映権やマーチャンダイジングからの莫大な報酬を約束するものだと解説。金のないチームでも勝てばトップリーグに昇格し、金のあるチームでも負ければ降格という、労働者階級が住む地域に根差した、欧州サッカーの伝統に反するものだとしている。欧州サッカー連盟(UEFA)のアレクサンデル・チェフェリン会長は、ESLは「純粋に欲に煽られた」もので、金だけがすべてだと批判している。

Text by 山川 真智子