「もちアイス」が欧米で人気 多彩な風味、配達サービスも

パリの「GAIA」の餅アイス|©GAIA

◆スイスでは高級路線
 筆者が暮らすスイスでは、つい最近、国内1位を誇るスーパーチェーン、ミグロが、独自ブランド「セレクション 餅アイスクリーム」を1箱8個入り、約1000円で発売し始めた。バニラ、抹茶、チョコ、マンゴーの4風味が2個ずつ入っている。セレクションは同スーパーの高級品シリーズで、味にこだわって値段は少し高めにした商品だ。

 昨秋、ミグロでこの餅アイスを見かけ、とうとうスイスのスーパーにもやってきたか、と驚いた。購入して味を確かめたところ、バニラはまあまあ、抹茶もまあまあ、チョコはなんとか食べられたものの、マンゴーは食べ切ることができなかった。

 しかし、これは、あくまで筆者の個人的な味覚による。餅アイスが好きだというスイス人女性に聞いたら、「チョコとマンゴーが大好き。バニラと抹茶はそれほどではないわ」という。ミグロのサイトの口コミを見ると、「おいしい」と評価している人たちもいる。一般のスイス人には、この味でおいしいと感じられるのだろう。売れ筋がよくない商品は、いつの間にか商品棚から消えて販売されなくなる。この「セレクション 餅アイスクリーム」が定着するかどうか見ものだ。

◆アメリカではロサンゼルス発メーカーが受賞
 アメリカでは、ロサンゼルスで製造している餅アイス「My/Mo Mochi Ice Cream」が、全国2万の小売店で売られている。ほかにも餅アイスのブランドはあるが、CNNによると、「My/Mo」は9割近くのマーケットシェアを誇り、2019年の小売業での「My/Mo」の売上は191億円以上にも達した。

 同記事では、飲食業アナリスト、ダレン・セイファー氏が、いまアメリカの消費者たちはこれまでとは違うアイスクリームを求めていて、餅アイスは待ち望んでいた商品だと指摘。「My/Mo」では、餅アイスのほか、通常のアイスクリームに餅チップを入れたシリーズも販売している。アメリカ大手小売業のターゲット・コーポレーションも、アイスクリーム業界に新風を吹き込み急成長している「My/Mo」を高く評価し、「パートナー・アワード・オブ・エクセレンス2018」を与えた

 日本の味は、すしから始まってラーメン、弁当、抹茶、豆腐、日本酒と海外で人気を博しているが、餅アイスがここまで流行るとは思わなかった。旅行したら、海外の餅アイスを味見してみるのも面白いかもしれない。

Text by 岩澤 里美