エジルのウイグル弾圧批判 アーセナルが距離を置き、中国が様子見する理由

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 サッカーのイングランド・プレミアリーグのアーセナルでプレーするメスト・エジル選手が13日、中国のウイグル人弾圧を批判するコメントをソーシャルメディア上に投稿し、中国のサッカーファンが猛反発している。ヒューストン・ロケッツのマネージャーが香港支持のコメントを出したことで、中国の怒り買ったNBAの例もあり、事態の行方が注目される。

◆なぜ今回だけ? アーセナルが立場を表明
 エジルは、トルコ系ドイツ人のイスラム教徒だ。投稿は中国政府だけでなく、いまの状況に沈黙するイスラム教徒への批判も示唆する内容で、インスタグラムで50万いいね!がついた(17日時点)。これに対しアーセナルは、クラブとして明確な表明をしなければならないとし、「掲載された内容はエジルの個人的見解だ。サッカークラブとして、アーセナルは常に政治に関与しないという原則を守ってきた」と発表した。

 このアーセナルの発表に対し、いくつかのメディアが矛盾点を指摘している。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、そもそも政治に関与しないというのに、なぜエジルの今回のコメントにだけわざわざ対応しているのかと疑問を呈す。イギリス総選挙の際、チームに所属する別の選手が、ジョンソン首相を批判するコメントをしたことに対しては沈黙していた。

 香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙(SCMP)も同様のことを指摘しており、さらにエジルはこれまでもトルコの独裁者、エルドアン大統領を支持し物議を醸してきたのに、そのときにもまったくアーセナルは反応してこなかったとしている。

Text by 山川 真智子