「日本は別世界の戦いをした」ラグビーW杯8強、日本称える英メディア スコットランド戦

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◆ラグビーを変えた? ファンも全力で応援
 英タイムズ紙で1987年以来W杯特派員を務めているベテラン記者、スティーブン・ジョーンズ氏は、日本のラグビーはこれまで見たこともないものだったと述べる。本国で見るどっしり重いラグビーとは違い、素早い走りと判断力、そして短く速いパスを繰り出す正確なものだったとしている。世界のモンスター級のチームに勝つための彼らのスタイルであり、このレベルにまで高めたコーチ、ジェイミー・ジョセフ氏に敬意を表すと述べた。スポーツアナリストたちが日本のプレーを分析するだろうが、日本は分析による理解を超えているとし、もはや魔法とまで述べている。スコットランドはよくやったが、別世界での戦いを強いられたとしている。

 スコットランドの地元紙、スコッツマンのアラン・マッシー氏は、スコットランドの普通の欧州ラグビーに対し日本は異なるゲームをしていたとし、より良いチームが勝つという一例が今回の結果だとする。スコットランドは負けたが、この試合はどんな勝利よりも記憶に残る試合だとし、負けを嘆くよりも日本を称えようと述べた。

 前出のスロット氏は、ファンたちの熱い応援にも言及した。一度は台風の影響で中止になりかけたが、赤と白に身を包んだスタジアムの観衆は台風の犠牲者を哀悼しつつも、試合の復活を祝ったとしている。それだけでも十分だったはずだが、日本チームは観衆に劇的勝利をプレゼントしたわけで、試合開催は中止引き分けよりは適切だったと述べた。誰に誘われることもなく、会場には「ニッポン」コールとコーラスのような手拍子が沸き起こった。そしてキャプテンがボールを持ったときにスタジアム全体が「リーチ!」と大声で歌うように叫んだと、同氏は現場の盛り上がりを描写している。刺激的なほどわくわくする日本チームの勝利はこの大会にふさわしいと述べている。

◆奇跡はまた起こる? 南ア戦に英メディアも注目
 次の試合は、20日の南アフリカ戦だが、キャプテンのリーチは、「良い試合をして負けるために、来週戦うのではない。勝つために戦う」と意気込みを語っている(ガーディアン紙)。前出のジョーンズ氏は、南アは巨大なフォワードによるラグビーで、巨大な男たちがフィールドのいたるところにいるチームだと述べる。今日主流のラグビーに、真逆の日本がどう挑むかに注目している。

 英インデペンデント紙は、大会前半戦を終え、ダークホースは日本以外にいないとする。同紙のJack de Menezes氏は、スピードとスキルで、体格的ハンデをカバーする日本チームは、スコットランドを倒したように南アフリカも撃破し、前回大会の「ブライトンの奇跡」を再現する可能性があると述べる。同紙のサミュエル・ロベット氏も、日本はすでに強豪アイルランドとスコットランドを破ったと指摘。自分たちを信じ、不屈の精神でここまで来た日本だからこそ可能性はあると述べ、常に予期せぬ事態に備えよとしている。大きく花開いた「ブレイブ・ブロッサムズ」の活躍から世界も目を離せなくなりそうだ。

Text by 山川 真智子