「空前絶後の人気に」東京五輪でチケット争奪戦 国内外で高い需要

AP Photo / Jae C. Hong

 予想をはるかに超える観戦チケットの申し込みに圧倒された東京オリンピック主催者は4日、初回の抽選ですべて落選してしまった日本在住者を対象に、8月に再び「セカンドチャンス」となる再抽選販売を実施する方向で調整中であることを明らかにした。

 先月20日に行われた結果発表後、何百万人もの日本人がすべての抽選に落選し、がっくりと肩を落とした。

 しかし、こうしてチケットの販売計画が変更されようとしてはいるものの、大半の応募者は再び落胆せざるを得ない気配が濃厚である。

                                                                                                                 

 日本国外でオリンピック観戦チケットを扱う正規代理店が、世界中で観戦チケットの販売を開始している。そのため、日本をはじめ各国で急激に高まっているオリンピック人気に枚数がまったく追いついていない状況だ。

 首都圏に住む3,500万人の人々が観戦チケットの入手を希望した。観戦チケットが無償で配布されたり、売れ残ったりしていた前回のリオデジャネイロオリンピックとはまったく対照的な状況である。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のスポークスパーソンである高谷正哲氏は、「一般の人々からの観戦チケット申し込み枚数は、確かに我々の想定を超えるものだった」とAP通信に対して述べている。高谷氏によると、主催者は東京オリンピックへの期待の高まりについて「大変満足している」という。日本在住のすべての人々を対象とした観戦チケットの2次抽選を、今年の末までに再度実施するよう調整を進めていると発表した。

 ラテンアメリカやカリブ海地域の大半の国々でチケットを販売する正規代理店のカータングローバルで上級顧問を務めているグレッグ・ハーニー氏は、これまでオリンピックに19回関わってきているが、このような事態は初めてだという。

 ハーニー氏はAP通信に対し、「人々が観戦にこれほど高い関心を示しているオリンピックは、私が知る限り今回の東京オリンピックが初めてだ」と述べている。

 主催者によると、オリンピックで実施されるすべての試合で約780万枚の観戦チケットが存在する。しかし、前回のオリンピック実績に基づいた概算では、最大で25%の観戦チケットがスポンサー、国際連盟、200ヶ国の国内オリンピック委員会、政府要人などの手に渡るとされている。さらに、東京都は20%~30%の観戦チケットは海外のバイヤーが買い付けるだろうと見込んでいる。

 AP通信が独自に行った見積もりでは、400~500万枚のチケットが日本居住者の手に渡る見込みだ。そしてこれはおそらく多めに見積もった場合の数値といえる。

 先月、主催者は750万人の日本居住者が、チケットの抽選販売に応募するために必要な登録を行ったと発表した。もし、各々の人たちが、たった6枚のチケットを申し込んだとしても、販売される枚数の10倍を超える応募があったことになる。しかもこの6枚という数字は、かなり控えめな数字だ。

 チケットマネジャーの最高執行責任者、ケン・ハンスコム氏はAP通信のインタビューに対し、「今回の東京オリンピックは、おそらく最も人気の高いオリンピックになるだろう。そして空前絶後の人気を誇るスポーツイベントの一つになることだろう」と述べている。

 ロサンゼルスを拠点とするハンスコム氏の会社は、オリンピック観戦チケットの売買は行わないが、法人顧客のチケットを管理している。

 日本に在住しているカナダ人弁護士、アレクサンダー・ドミトレンコ氏は、24枚の観戦チケットに応募し、2枚当選したという。感動を隠し切れない様子だ。

「私は幸運だ。必ず観戦するつもりだ」とドミトレンコ氏は語る。

 アメリカおよびほかの国々でオリンピック観戦チケット販売を手がける正規代理店のコスポートは、チケットの割り当てを延期し、電子メールで同社が販売できるチケットの枚数が不足していることを顧客に知らせた。その文面は以下の通りだ。

「2020年東京オリンピックに対し、記録に残るほどの強い関心をお寄せいただき誠に有難うございます。我が国へのチケット割り当てが限定されており、安定したチケット販売を公平かつ確実に行うための体制整備に、もう少々時間がかかる見込みです」。

 そして、チケットをめぐる過熱した争奪戦は、不正な転売行為に火をつけることになる。

 日本では先月、チケット不正転売禁止法の施行が開始された。この法律に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、またはその両方が科せられる。

 しかし、この法律には大きな抜け穴がある。無償で配布もしくは贈答品として配布された、または購入者の記名のないチケットに関してはこの法律は適用されない。すなわち、国際オリンピック委員会(IOC)、200ヶ国の国内オリンピック委員会、大手のオリンピック大手スポンサーを経由する多くのチケットに対しては、この法律は適用されない。

 日本の主催者は、60を越える地元のスポンサーから30億ドル(約3,264億円)を越える寄付を集め、運営予算に組み入れた。さらに、日本の有名な大手企業3社が長期にわたりオリンピックの主要なスポンサーを務めている。パナソニック、トヨタ、そしてブリヂストンの3社だ。

 オリンピック組織委員会は、観戦チケット販売による8億ドル(870億円)の収益を見込んでおり、これがオリンピックの運営予算調達の大きな割合を占めることになる。

 アメリカに拠点を置き、オンラインでチケットの購入や販売サービスを提供しているスタブハブは、前回のオリンピックで観戦チケットを販売した。同社は、今回のオリンピック観戦チケットの取り扱いに影響が及ぶ可能性を危惧しており、日本の新しいチケット不正転売禁止法に対して批判的な立場をとる。

 スタブハブのスポーツ担当部門長、ジル・クリムメル氏はAP通信に対し、「残念ながら今回の日本の新しい法律は、チケットの売買市場を人為的に操作しようとする試みに欠陥がある。オリンピックのファンたちはおそらく不利益を被ることになるだろう。一方、スタブハブは、安全で透明性が高く、競争の盛んな市場こそがファンや試合にもっとも役立つと確信している」と語る。

 3年前にリオデジャネイロオリンピックが開催された時、アイルランドのIOC理事であるパトリック・ヒッキー氏が観戦チケットの不正転売の疑いで逮捕された。ヒッキー氏は一時的にIOCの役職から身を引いてはいるが、依然IOCメンバーの一人であり、すべての嫌疑を否認している。IOCやサッカーの国際統括団体であるFIFAの上級メンバーが闇市場で非合法な取引に関わり、私腹を肥やしたのはこの一件が初めてではない。

By STEPHEN WADE AP Sports Writer
Translated by ka28310 via Conyac

Text by AP