カナダ・トロントで本格江戸前寿司 新鮮信仰の海外で活躍する異色シェフ

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 いまやすっかり海外でも人気が定着した寿司だが、生魚を食べる習慣のなかった海外ではネタの新鮮さが重視されている。魚を寝かせて熟成させる伝統的な江戸前寿司はまだまだなじみが薄いなか、ニューヨークの寿司店でミシュラン二つ星を獲得した日本人職人が作る超高級江戸前寿司が、カナダのトロントで話題になっている。

◆初の本格江戸前寿司 トロントに本物の味を
 話題の店の名は「Sushi Masaki Saito」だ。昨年までニューヨークの「鮨銀座おのでら NewYork」にいた齋藤正樹氏が寿司を握る。魚はすべて日本から空輸。営業は夜のみで、7席のみの2部制となっている。ライフスタイル・サイト『Coveteur』によれば、ミシュラン・シェフがトロントに店を構えるのは初めてで、地元にとっては食のビッグニュースということだ。

 齋藤氏は北海道の出身で31歳。水産高校を卒業後、東京の寿司店で皿洗いから修業を始めた。23歳で札幌の「すし善」に就職し、名匠嶋宮勤氏の下で江戸前寿司の技術を身に着けた。その後、「銀座 おのでら」に入り、同店の東京、香港、ニューヨークの店を渡り歩いた。斎藤氏が中心となっていた2017年に、ニューヨーク支店はミシュラン二つ星に輝いている(トロント・ライフ誌)。

Text by 山川 真智子