アカデミー賞作品賞『グリーンブック』 心に響く実話、主演二人の名演に魅せられる

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◆主演二人、絶大な求心力
 作品のパワーの源は、何と言っても主役の二人。対極的なコンビをワシントン・ポスト紙は絶賛している。がさつな用心棒・トニーを演じるヴィゴは、あらゆる役所をこなす役者として知られる。本作ではさらに、これまで見せたことのないユーモアの才能を開花。無邪気さを爆発させ、抱腹絶倒とやり過ぎの中間にあるギリギリのラインを攻める。もう一人の主演・マハーシャラは、落ち着き払ったドクター・シャーリーを演じる。視線や指先だけで長大なモノローグにも匹敵する感情を伝える、と同紙はこちらにも敬服している。

 二人のキャラクター性には、ロサンゼルス・タイムズ紙も満足した様子だ。自信満々で威張り散らしたトニーと、気品溢れるようでいてときに傲慢なシャーリー。ソリの合わない二人だが、ただ相手を見下しコミカルに騒ぐだけでなく、一歩ずつ互いの長所に学んでゆく。

 対極的な二人だが、裏を返せば、だからこそ道中互いを必要とするとも言える。二人の互恵関係をトロント・スター紙は解説。トニーの「リップ」という異名は、街で一番の大ホラ吹きだったことから。筋力だけでなく、その巧みな話術と悪知恵にシャーリーは頼ることになる。トニーもシャーリーから暴力以外の解決法を学ぶなど、これまで知らなかった生き方を見つけてゆく。

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◆アカデミー賞作品賞
 ワールドプレミアとなった昨年9月のトロント国際映画祭で、本作は実質的な最高位の賞となる観客賞を受賞。これまでに『ラ・ラ・ランド』『英国王のスピーチ』など歴代の名作が受賞している。今年1月のゴールデン・グローブ賞では、作品賞(ミュージカル・コメディ部門)など最多3部門を受賞した。アカデミー賞では5部門にノミネートされ、作品賞、助演男優賞、脚本賞を獲得した。

 実話に基づく友情の物語『グリーンブック』は、3月1日から日本公開予定。

Text by 青葉やまと