アカデミー賞作品賞『グリーンブック』 心に響く実話、主演二人の名演に魅せられる

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 黒人の旅行がまだ身の危険を伴った1960年代のアメリカ。品の良いジャマイカ系天才ピアニストが、嘘と腕っぷしだけが頼りのイタリア系ボディガードに道中の安全を託す。反目し合う二人だが、いつしか互いに尊敬の眼差しを向けるようになり———。心に響く実話に、軽快な笑いを添えた映画『グリーンブック』は、3月1日から公開される。

◆新しい生き方を知る旅へ
 1962年、ニューヨーク北部。用心棒のトニー(ヴィゴ・モーテンセン)の元に、運転手になってほしいとの依頼が。依頼主の元を訪ねると、それは世界的な黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)だった。コンサートツアーでアメリカ南部まで移動するため、旅をともにしてほしいという。旅の相棒は、「グリーンブック」というガイド本を手に車に乗り込む。アフリカ系アメリカ人でも差別を受けることなく入れる店をリストにしたこの本は、当時の旅の必需品だった。

 人の心に染み入る旋律を奏でるシャーリーは、人間としても大変にできた人物。道中出くわすいわれのない差別に耐え、反暴力を解き、トニーが道に反することをすれば静かに正す。文才もあると見え、トニーの妻に宛てたラブレターのゴーストライターを務めることも。天才黒人ピアニストと、今ひとつ育ちの良くないイタリア系用心棒。初めこそ折り合いの悪かった二人だが、人種の壁を越え、いつしか友情が芽生えてゆく。

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Text by 青葉やまと