ホワイトウォッシング? 大坂なおみ選手のアニメCM、海外からダメ出し
◆海外から非難 世界の流れへの認識が不足
海外メディアは問題の動画に対し、非常に厳しい目を向けた。イギリスのBBCやガーディアン紙、アメリカのCNN、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、通信社のAPやロイターなど、欧米の大手メディアが一斉に「ホワイトウォッシング」と認定し大きく報じている。
BBCは、日本は非常に均質な社会であるがゆえに、日々の生活では意識されない人種と差別の問題に、この騒ぎが光を当てたと述べた。日本で生まれる新生児の50人に1人が「ハーフ」なのに、彼らへの差別はなくならないとしている。CNNは、アメリカを拠点にする黒人ジャーナリスト協会の「多くの観点から不快だ」というコメントを紹介した。APは、人種、国籍、性別、性的指向など、多様性に鈍感であることから日本が批判されたのは初めてではないと述べている。
メディアがこぞって意見を求めたのが、ジャパン・タイムズ紙にこの件に関してコラムを書いていた、アフリカ系アメリカ人のライター、バイエ・マクニール氏だ。アニメ動画を見て、彼女の特徴が消されてしまっていることに非常にがっかりしたと述べている。自分には異なる要素が混ざっていると公言しつつも、自身のキャラクターと能力で世界に認められることを望んでいる彼女を、今回のような形で描いたことは、ビジネス的にもお粗末な決定だと指摘している。
また、日清食品の広告のターゲットは日本人だったのかもしれないが、グローバルな視聴者を抱えるYouTubeを使い、世界でもっとも人気のある有色人種のアスリートの一人を起用するのなら、それを見る人が世界中の人々だと認識する必要があったとも述べている。
◆多様化に向かう日本社会 今回の事件が意識を変えるか
もっとも、今回の広告が、大坂選手がルーツを持つハイチを過小評価したのかというBBCの問いに対し、マクニール氏は、日本の多くのアニメ・キャラクターは西洋的な外見で描かれており、それがスタイルになっていると述べる。しかし、多くのアニメがフィクションであるのに対し、大坂選手は実在の人物なのだから、やはり西洋風に描いたのは問題だったと見ている。日清側は、「ホワイトウォッシング」の意図はなかったとし、今後多様性により配慮していく決意を表明したが、結局は、多様性への理解が薄い、日本企業や社会の認識の甘さが招いた騒動と言えそうだ。
日本は深刻な人手不足を背景に、外国人労働者受け入れ拡大を昨年発表した。訪日外国人は昨年には3000万人を突破し、2020年には東京五輪も開催される。マクニール氏は、島国日本にも変化が日々少しずつ訪れているとし、今回のような問題を無視することはだんだん難しくなっているとBBCに述べている。
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