NBA、アフリカ開拓を長期戦で展開 全アフリカリーグ設立も

Themba Hadebe / AP Photo

 ティモシー・イグフフェ選手の身長は約211cm、体重はおよそ111kg。手ごわいディフェンダーだと評判だ。サッカーの代わりにバスケットボールをするとの決断が功を奏し、NBAへの道が約束されるなら、イグフフェ選手は今後さらに飛躍するに違いない。ナイジェリアでは周知のことだ。

 18歳のイグフフェ選手は、パトリック・ユーイング氏がヘッドコーチを務める米ジョージタウン大学で来季よりプレーすることが確約されている。故郷ラゴスで、サッカーからバスケットボールに移行して以来、わずか3年後のことだ。

「コートのエンドラインからエンドラインへと移動するスピードが課題です。さらに、左手。左手でシュートするためには強くしなければ」と、今週行われたセネガルのNBAアカデミー・アフリカに新設された練習施設のオープン式典で、イグフフェ選手は語った。

                                                                                                                 

 言い換えると、将来性はあるものの途中段階なのだ。それはまさに、NBAにとってのアフリカそのもの同然である。

「この大陸には、10億人を超える人々や急成長中の経済があり、若年層の都市圏人口は急速に増加している。これらは長期的にNBAにとって良い秘訣となる」と、NBA副コミッショナー、マーク・テイタム氏も参加したオープン式典で述べた。

 NBAが抱くアフリカでの計画は大きなものだ。8年前、南アフリカに事務所を設立した。NBAスター選手たちによるエキシビションゲームが年に1度開催されている。

 アフリカにはまだ余力があるとNBA幹部は話す。テイタム氏によると、従来のクラブチームが参加するような全アフリカリーグの設立に向けて進行中であり、「この先数年内には」NBAのオープン戦や公式戦がアフリカで開催されることになるだろう、という。

 新設された練習センターもまた、新たな一歩となった。サッカーアカデミーの構内に建てられたセンターは、セネガルの首都ダカールより約72km南に位置する、海沿いの観光地にある。かつてポルトガルとの交易で栄えた町サリーは、現在はダカールに住む上流階級の人々の保養地であり、フランスから来た多くの人が居住している。

 2面のアリーナ式コートはアメリカから輸入された。室内施設であり、そして空調完備というだけで、おそらくセネガル国内でこの上ないバスケットボール施設となる。テント型に張られた羽布(はふ)はスチール製トラスに縫い付けられており、コートの前にある輸送用コンテナはウェイトトレーニングのために利用される。

 このアカデミーは世界7ヶ所の内の1つであり、中国には3ヶ所ある。学校教育とトレーニングを提供する全日制プログラムが特色だ。英語またはフランス語を主要言語とするアフリカ諸国から選抜された、24名の男子選手を受け入れることが可能である。NBAによる女子選手を対象とするキャンプの実施はあるものの、専用の施設はまだない。

「ここではバスケットボールと学校だけに専念すればよいのです。他の心配は何もいりません。ラゴスでは状況が違っていました。気になることがたくさんあるのです」とイグフフェ選手は述べた。

 10代の男子選手たちの1日は、午前5時半、軽い運動から始まる。その後朝食を取り、学校へ。昼食の後も学校があり、そしてジムに行く。かつてNBAやNCAA(全米大学体育協会)でプレーしていた選手らから指導を受け、トーナメントのためにオーストリアやヨーロッパ、アメリカを訪問したこともある。

 NBA副会長兼アフリカ担当マネージングディレクターを務めるアマドゥ・ギャロ・フォール氏は、NBAは、大陸を越えて広がっているJr. NBAプログラムのように、草の根レベルから築き上げられていると語る。

「我々が行っていることは、物事のほんの始まりにすぎない。我々はバスケットボールを通じて若者たちに力を与えており、そしてその過程で才能あるエリート選手が輩出されている。彼らはNBAや世界中のリーグに、そしてこのアフリカの将来のリーグに入るのだ」とセネガル出身のフォール氏は語った。フォール氏はすぐ近くにSEEDアカデミーを設立し、NBAアフリカ事業と協力し合っている。

 今シーズン、アフリカ出身のNBA登録選手は13名でスタートした。

 全アフリカリーグについての詳細は数ヶ月以内に発表される予定だと、テイタム氏は話す。FIBA(国際バスケットボール連盟)や従来のプロリーグからの協力を得て開催することになるだろう。

「全アフリカリーグの開催を迅速に遂行すること、このようないくつかのリーグとの協業を可能にすること、我々のパートナーであるFIBAと連携すること、すぐにでも何かを立ち上げること。我々はこれらについての手法を模索しているところだ」とテイタム氏は述べた。

 アフリカには優れた基礎的設備が不足している。それでもテイタム氏は、新しいダカール・アリーナだけでなく、ルワンダで新設が予定されている施設にも触れ、試合をここで行うようNBAを誘致するためのものだと言及した。また、ダカール・アリーナについて「世界レベルの施設」であると称したが、直前にセネガルのスポーツ大臣によって公表された、来年のNBAエキシビションを主催するつもりであることについては同意しなかった。

 NBAアフリカエキシビションは、開始からの3年間、南アフリカで開催されてきた。しかし、バスケットボールを受け入れることについては、セネガルやナイジェリアのような西アフリカ諸国がより熱意をもって推進しているようにみえる。

 アフリカではサッカーの人気が圧倒的である。リヴァプールやバルセロナのようなチームは世界中にファンクラブを持っており、さらにヨーロッパ標準時間でキックオフされるため生中継で容易に観戦できる。

 イグフフェ選手は、フィラデルフィア・76ersに所属するお気に入り、ジョエル・エンビード選手の試合中のハイライトを、試合が行われた次の朝にチェックする。ユーチューブで試合を見たり、インスタグラムではカメルーン出身の人気選手をフォローしている。

 アフリカの子どもたちは、ボール1つとほんの小さな場所があれば、道路でさえもサッカーをすることができる。しかし、バスケットボールのコートを探すのは、半面分のコンクリートとゴール用の枠のみですら、容易ではない。

 コートをたくさん作れば、NBAは若者の参入を劇的に増加させることができる。こう話すのはダカールにあるフライング・スター・アカデミー館長のイブラヒマ・ヌディアエ氏である。このアカデミーからは、NCAAディビジョン1の選手が何名か輩出された。

「これは、アフリカ全域にバスケットボールを浸透させるために求められていることです。使用できる設備がもっともっと必要です。練習する子供の数を増やすためにはこれが唯一の手段なのです」とヌディアエ氏は電話によるインタビューで答えた。

 中国はNBAにとって大きな成功である。そのためアフリカにおけるリーグの取り組みとしばしば比較される。

「我々が中国に進出して30年が経つが、南アフリカに事務所を開いたのはたった8年前だ」とテイタム氏は、いくつかの見通しを交えながら語った。

 NBAの先発選手として登録されたアフリカ出身選手13名の数は、10年以内に倍になり得る、という。

「我々にとって、これは長期的な投資であり長期戦なのです」

By KEN MAGUIRE, Associated Press
Translated by Mana Ishizuki

Text by AP