葛飾北斎の娘・応為、「時の人」として海外でも脚光 現代人の心を打つ生き様と画力

露木為一 / Wikimedia Commons

 社会に影響力のある女性100人を選ぶ「BBC 100 Woman 2018」が発表され、日本からは天文学者の大小田結貴氏(23)、東京オリンピックに向け英会話を勉強している高見澤摂子氏(90)が選ばれた。同企画は歴史に埋もれた女性にも注目しており、葛飾北斎の娘・応為をアニメーションで紹介。葛飾応為はこの数年、海外メディアで取り上げられる機会がぐんと増え、注目の人になっている。

◆北斎人気の高い海外が見た「次の波」
 2018年は女性の権利に関して世界中で目覚ましい動きが見られ、「BBC 100 Woman」でも、情熱や怒りをもって行動したという基準で時の人が選ばれた。同時に、歴史に埋もれてきた女性を見直す動きも広まり、同企画では歴史上の女性を紹介する映像のひとつとして、葛飾応為のアニメーションを公開した。

 葛飾応為は離縁後に北斎のもとで助手を務めるなどして画業に専念するようになり、父の死後も絵の道を歩んだ。北斎晩年の作品にみられる、細密かつ鮮やかな画風は彼女によるものだとの指摘もあり、作家性を確立した名手だと評価されている。また、人柄は父に似て偏屈なところがあり、反良妻賢母的な面も目立ったという。BBCのアニメでは、偉大な北斎の影に隠れてきた応為を、父の代表作にかけて「ネクスト・ウェーブ」だと称賛。イギリスでは昨年、大英博物館での北斎展が大好評だったこともあり、今後も脚光を浴びそうだ。

Text by 伊藤 春奈