ジョニー・デップ、水俣病を世界に伝えた写真家に 映画『Minamata』

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 ジョニー・デップが、映画『Minamata(原題)』で、水俣病を世界に伝えた米国人写真家、ユージン・スミス氏を演じることになった。水俣病の原因となった水銀による健康被害は世界各地で報告されており、国連も水銀の製造や取引の規制に動いている。この映画によって、水俣病や水銀の有毒性に関する知識がさらに世界に広まることが期待される。

◆原作は写真集 アメリカ人写真家が見た水俣病とは
 エンタメ誌ハリウッド・レポーターによれば、映画のベースとなるのはアメリカ人写真家、ユージン・スミス氏と妻のアイリーン・美緒子・スミス氏の写真集『水俣』。主人公のスミス氏は、第2次大戦中戦場カメラマンとして活躍したが、その後世捨て人となり社会や仕事のキャリアから遠ざかっていた。しかし、友人でもあった雑誌LIFEの編集者から大ネタの取材に行くようにと説得され、日本に向かう。そこで妻とともに余生を賭けて取り組むことになったのは、水俣病の取材だった。海辺のコミュニティの壊滅的惨状、企業の欲の犠牲となった人々、犯罪に加担する地元警察や政府がスミス氏の目を通して描かれる。

 水俣病は、1950年代に熊本県水俣湾周辺で見られるようになった神経系疾患で、原因はチッソ水俣工場から水俣湾に排出されたメチル水銀だった。魚介類のなかで濃縮され、それを食べた人々に深刻な脳や神経系統の損傷が起き、多くの回復困難な重症者、死者を出した事件だ。1968年に公害と認定され、1969年に患者が民事裁判を起こし、1973年に勝訴判決を勝ち取った。その後チッソの社長や幹部の刑事責任も認められた。1996年には一部を除き和解が成立し、長きにわたる訴訟は一応の決着を見た。

Text by 山川 真智子