開催地ローテーション・分散、競技削減 五輪存続のためにIOCが行うべき改革

Yang Ji-woong / Yonhap via AP

 せっかくオリンピックというパーティを開くのに、主催者がみつからなかったらどうなるだろうか?

 そんな日が、そう遠くなくやってくるかもしれない。

 10月12日、2026年冬季オリンピック開催地候補のストックホルムが、招致レースから離脱する可能性があるというニュースが報じられた。国際オリンピック委員会(IOC)が候補都市として承認してから、わずか数日後のことだ。そのため、来年の最終決定までに候補地が決まらない、という事態がこれまでになく現実味を帯びている。

                                                                                                                 

 他の主催地候補はカナダのカルガリー、そしてイタリアのミラノとコルティナ・ダンペッツォが共同開催を申し出ているのみだ。しかし、カルガリーの提案は来月実施される国民投票が命運のカギを握っており、事前調査によると圧倒的な支持を得ることは期待できない状況だ。一方、イタリアのプランは政府からの支援を得ておらず、さらに2020年と2024年の夏季大会招致から撤退している点もネックになっている。

 まるで、オリンピック誘致がどれほど無駄な労力なのか、各都市がさらなる喚起を求めているかのようだ。すでに今年の冬季大会開催地となった平昌では、「使用用途がない」という理由から、複数のオリンピック会場の撤去を検討している。また、東京では次の夏季大会招致に約2兆8000億円という膨大な予算を計上しており、その額はさらに膨れ上がる可能性がある。

 フォーダム大学でスポーツビジネスプログラムを運営しているマーク・コンラッド氏は、「モデル全体を再考する必要がある」と話す。その提案内容をいくつか紹介しよう。

◆開催地のローテーション制
 このアイデアは何年も前から提案されてきたが、IOCは相手にしてこなかった。

 少なくとも、冬季五輪誘致の魅力が減少している上、雪と氷のイベントを主催可能な街も減ってきている(気候変動による深刻な影響力の可能性を考慮すれば、その数は今後さらに減るかもしれない)のだから、できるだけ早くこのコンセプトに向けて動くべきだ。

 ソルトレイクシティやカルガリー、日本(札幌と長野で負担分散)、ノルウェー(オスロとリレハンメルで同様の措置)など、誘致経験のある地域がローテーション制度を支える候補地であることは間違いない。必要な施設がすでにそろっているからだ。ウィンタースポーツを愛するドイツやスイス、オーストリアなどの国々も手に負えないほどの費用がかからないよう保証すれば、名乗りを上げてくれるかもしれない。

 夏季オリンピックでは、シドニー(おそらくメルボルンと共同開催)、ソウル、ロサンゼルス、ロンドン、北京はすべて常設のローテーション参加地域となる可能性がある。あとは、近代オリンピック誕生の地でもあるアテネもその候補に入ることは間違いないが、その前にIOCは数億ドルの資金を用意し、金融破綻によって放置され腐りかけている2004年大会会場を修復しなければならない。

 IOCと協力関係にあるデラウェア大学経営学教授のマシュー・ロビンソン教授は、「誰もが誘致したがっていた時代には、もっと抵抗があった。今なら、ローテーション制度に前向きになるのではないか」と話す。

◆競技数の削減
 何度も膨大な大会の規模を縮小した方が良い、という声が上がっているにもかかわらず、この分野についてIOCは、大幅な改革を実施する姿勢を微塵も見せていない。

 東京五輪で、IOCは規模を縮小するところか、競技数を増やしている。それも1つや2つではなく、野球、ソフトボール、スポーツクライミング、空手、スケートボード、サーフィンの6競技だ。言うまでもなく、3×3(3人制のバスケットボール)や水泳(男女混合リレー)など、新たな種目が追加された競技もある。2024年のパリ大会では、若い観客を呼び込むため、eスポーツの追加まで検討されているというのだ。

 こんな馬鹿げたことは終わりにするべきだ。

 IOCは、優秀な選手の参加が見込めない競技を切り捨てるべきだし(さらば、野球)、一部の地域や観客にしか魅力のないスポーツもまた然り(チームハンドボール、ウォーターポロ、近代五種競技のこと)だ。より人気の高いスポーツでも、真剣に取捨選択をする必要がある。たとえば陸上競技(本当に、競歩は必要なのか?)や水泳(東京大会ではなんと37個の金メダルが授与される)はどうだ。

◆建てても、誰も来ない
 これもまた、IOCが聞こえの良いことを言いながら、途中で翻してしまうことの多い分野だ。

「大会終了後にも使用可能な施設以外、建設するべきではない」と謳ってはいるが、実際に平昌では開会式と閉会式にしか使用しない3万5000人を収容する仮設スタジアム建設費用として約1億ドル以上の費用が認められた。しかも江陵オリンピック公園には大会中に使われもしなかった、22,000席のサッカースタジアムがあるというのだから、まったく馬鹿げた決定だ!

 狂気は東京でも続く。約280億円かけて新しい水上競技場を建設しているが、すでにこの都市には水球にしか使う予定のない近代的な施設があるのだ。既存の施設(約3600席)はオリンピックの水泳競技には狭すぎる、という主張もある。しかし、それでは主催者が都内近郊に数多くある屋内施設に特設プールを設置しない理由を説明することはできない。たとえば、17,000人収容の横浜アリーナ(東京都心から約32km以内)は会場に含まれていないのだ。

「計画段階では、東京は非常に堅実な候補だと思えた。しかし今や、このコストは信じがたい」とコンラッド氏は言う。

 IOCは、自らの教えを自ら守らなければならない。つまり、「無用の長物」になる可能性のあるものを避け、スポーツ選手に仰々しい施設を、と主張する個々のスポーツ連盟に「ノー」という必要がある。

◆負担を分け合う
 なぜ、基本的にたった1つの都市がオリンピック全体を誘致しなければならないのか?

 オリンピックの規模は、1つの地域が負担するには大きすぎるため、IOCはすべての国が、もしくはサッカーのワールドカップ同様、複数の周辺国が負担を共有することを検討すべきだ。そうすれば多数のスポーツが既存の施設に分散されることになるだろう。

 そうなれば、4年ごとにオリンピックが世界各地で行われることを妨げる理由はなくなる。1956年、厳しい検疫法によりオーストラリアでの乗馬競技が実施できなかったことから、会場がスウェーデンに移ったことがある(実際には競技が行われたのはメルボルン大会開催の5ヶ月前)。

 2016年大会にこのような措置が取られていたら、リオデジャネイロは間違いなくこれを歓迎したことだろう。当時、リオでは必要に迫られて高額のゴルフコースを新設したが、今では牛の牧場として使われている。想像してみてほしい。ゴルフ人気の低い国ではなく、セント・アンドルーズのような場所でゴルフ競技が実施されたほうが、はるかに意味があっただろう。

 IOCは、対策に乗り出した方がいい。

 そうでなければ、あなた方の小さなパーティを主催してくれる人は、誰もいなくなるだろう。

By PAUL NEWBERRY, AP Sports Columnist
Translated by isshi via Conyac

Text by AP

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