IOC会長「オリンピックにeスポーツ採用できない」 一部ゲームの暴力性を問題視

AP Photo / Vadim Ghirda,File

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長によると、eスポーツはオリンピック競技にいつ組み込まれるか、また、組み込まれるかどうかについてははっきりしていない。

 バッハ会長は、1日に行われたアジア大会でのAP通信のインタビューに対し、オリンピック競技へのeスポーツ導入の検討にはいくつかの条件が満たされる必要があると明言し、「我々は、暴力や差別を容認し推進するゲームをオリンピック競技として取り入れることはできない」とAP通信に語り、「いわゆる殺人ゲームのことだ。我々の見解では、その種のゲームはオリンピックの価値観と矛盾することから、容認することはできない」とした。

 eスポーツは公開競技として今回のアジア大会で初めて開催され、中国の杭州で4年後に開催される大会でフルメダル・イベントとして承認される可能性がある。

                                                                                                                 

 果たしてオリンピックがこれに続くことになるのだろうか?

 IOCは7月、スイスのローザンヌにあるIOC本部内にeスポーツフォーラムを設けて以来、これらの質問について慎重に熟考を重ねてきた。

 IOCとして結論を出すにあたり、バッハ会長にはさらなる説得力が求められている。バッハ会長は現役時代、オリンピックのフェンシング競技で金メダルを獲得した。フェンシングは剣を使って勝敗の決着をつけようとする競技だ。

「言うまでもなく、すべての格闘技は、実際の人々による戦いが起源となっている」とバッハ会長は述べた。そして「だが、スポーツはその戦いを文明化した表現である。他人を殺傷するeゲームに関しては、オリンピックの価値観とは相容れないことからオリンピックの競技に組み入れることはできない」と語った。

 アジア大会の主催者は数日前、フロリダ州のショッピングモールで開催されたビデオゲーム大会で発生した銃乱射事件で犠牲となった人々に哀悼の意を表した。

 彼らは、eスポーツではなくアメリカの銃規制法を非難した。

 銃の乱射事件を受け、アジア国際eスポーツ連盟のケネス・フォク会長は「これは銃規制と銃の入手に関する深刻な問題だ」と語った。

 また、広範囲にわたるインタビューの中でバッハ会長は、インドネシアが2032年のオリンピック開催都市となる可能性についても明言した。1日、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領はオリンピック開催地に立候補することを表明して国民を驚かせた。この発表は2日にアジア大会が閉会する中で行われ、4月の大統領選でのウィドド氏の再選を視野に入れたものとされる。

 バッハ会長は、「アジア大会が成功裏に行われたことをご存じであろう。私は、インドネシアは強固な基盤を備えた、有力なオリンピック開催候補地であると思う」と述べた。

 既にIOCは、2024年のオリンピック開催地にはパリを、そして2028年のオリンピックにはロサンゼルスを選出している。IOCによる2032年のオリンピック開催地の選出は2025年以降になる予定だが、バッハ会長によると、立候補に興味を示しているのはインドとドイツだけである。

 リオデジャネイロはオリンピックを開催するために200億ドルを拠出したが、東京も市街を整備してオリンピック競技を開催するために同程度の規模の予算が必要となりそうだ。

 バッハ会長はまた、ドーピング問題根絶の戦いについて、厳しい現実を切実に訴えかけた。これまでのオリンピックの3大会にわたるロシアの国家ぐるみのドーピング疑惑問題は、2014年のソチ冬季オリンピックに端を発している。

 バッハ会長はドーピング根絶について、「日々、決然と戦わなければならない。現実を直視しなければならない。そしてこれは、ドーピング問題を根絶したと宣言できる日は永遠にやってこないであろうことを意味する。残念ながら、人間が互いに競い合う限り、法や規則に背いてでも自身の優位点を追い求めようとする者が必ず出現することになる」と語った。

 バッハ会長と2020年東京オリンピック実行委員会は、今夏、日本の首都を襲った酷暑にも大きな懸念を抱いている。しかし、「東京オリンピックの準備は予定通り進行している。そして、大会開催前にブラジルが危機的状況に陥ったように、国家に関わる問題は今回、何一つ発生していない」とし、問題が山積みだった2年前のリオデジャネイロオリンピックの時よりも「ずっと安心して」眠りにつくことができていると述べた。

 バッハ会長は2016年以来ブラジルを訪問しておらず、当面すぐに戻る計画もないという。

 2016年リオデジャネイロオリンピック組織委員会会長であり、IOCの一員でもあるカルロス・ヌズマン氏は、賄賂を授受し、選挙で不正を働いた汚職疑惑で逮捕されIOCによって執行を猶予された。

 ヌズマン氏は無実を主張している。

「見ての通り、ブラジルは今日もなお危機を脱していない」とバッハ会長は語った。

By STEPHEN WADE, AP Sports Writer
Translated by ka28310 via Conyac

Text by AP

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