織田信長に仕えた黒人侍「弥助」が世界で脚光 ハリウッド映画化も
◆弥助の実像と文化的多様性を描く『ブラック・サムライ』
ニュースメディア『Konbini』によると、映画は、『ソーシャル・ネットワーク』『アメリカン・ヒストリーX』などを手がけたプロデューサー、マイケル・デ・ルカと、『ハイランダー 悪魔の戦士』(以下『ハイランダー』)の脚本家グレゴリー・ワイデンというヒットメーカーが組み、主演は未定だという。弥助の出身地は諸説あるが、記事にあるワイデンのコメントによると、エチオピア出身になりそうだ。
ウェブ誌『Deadline Hollywood』は、ワイデンの『ハイランダー』に注目して映画の作風を探る。『ハイランダー』は、弥助が生きた時代と同じ16世紀がひとつの舞台であり、戦士たちが活躍する。ファンタスティックな設定もあるが、アクションが見せ場であり、文化のアイデンティティを描いていることなど『ブラック・サムライ』との共通点も目立つ。また、奴隷出身の弥助が武士になる過程で抱く「暴力」への葛藤も、物語の鍵として引き出している。
◆『ブラックパンサー』を意識? 「本能寺の変」の描写は?
『ブラック・サムライ』と弥助が脚光を浴びる背景には、世界中でヒットした『ブラックパンサー』の影響もあるだろう。アフリカ出身の主人公が華麗なアクションを見せ、差別と向き合うという特徴が重なるからだ。
『Konbini』では弥助の伝記物語のひとつとして、漫画シリーズ『ヤスケ:サムライの誕生』も紹介し、無視されてきた英雄を描きたい、との製作者の意図を伝えた。同作の弥助は、奴隷時代のトラウマに苦しみながら武士として成長し、ロールモデルとして児童に誇りを与えるような人物らしい。重いテーマとアクションの爽快感、温かな人間ドラマなど、やはり『ブラックパンサー』に通ずる思想が感じられる。
弥助は信長の最晩年に仕えたことから、日本の娯楽作品では、信長が横死した「本能寺の変」で奮戦する姿がしばしば描かれてきた。『イエズス会日本年報』には、弥助が明智光秀の軍勢と戦ったのちに消息を絶ったことが書かれている。本能寺前後の弥助については諸説あり、『ブラック・サムライ』でどう描かれるのか、気になる人も多いだろう。2020年のNHK大河ドラマの主人公は明智光秀だ。公開時期が重なれば日本でも「弥助ブーム」が起きるかもしれない。
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