『デッドプール2』レビュー 今作も型破りのハチャメチャ、「最後」まで注意!

Twentieth Century Fox via AP

 最近公開された「デッドプール2」の上映の際は、観客はエンドロールが始まっても席を立たず、視覚効果監修や照明担当の名前が流れるあいだ辛抱強く座っていた。真の「デッドプール」ファンは、劇場係に会場を出されるまでその場にとどまるべきだと知っているのだ。

 それは、「デッドプール」の製作者たちが彼らの無秩序で、アナーキーで、破壊的な主人公を従来の枠の中に収めるだけでは満足しないからである。「デッドプール」の世界においては、退屈なエンドロールでさえもジョークやからかいに満ちている。

 だから、ライアン・レイノルズがもう一度赤いスーツと刀を身に着けて、お洒落で見どころ満載の愉快な続編に登場するのを、腰を落ち着けて観てほしい。前作の「デットプール」は2016年に公開され、R指定の映画では「パッション」に続き米国内で2位の興行収入を記録するほど大ヒットした。どうしてそれがわかるのか?「デットプール2」の中で、『第四の壁』を破って誇らしげに観客へ披露されるからである。

                                                                                                                 

 本作で皮肉られている作品等は、他にも「愛のイエントル」「アナと雪の女王」「ストレンジャー・シングス」、ウルヴァリン、ジャレッド・クシュナー、Cultural Appropriation(訳注:「文化の盗用」という概念を表す言葉)、ブラッド・ピット、ノルウェーのバンドA-ha、「氷の微笑」、「ロボコップ」、ウエストポーチ、「セイ・エニシング」、ダブステップ、「シャークネード」などで、挙句にはグリーン・ランタンで主役を務め、手痛く失敗したライアン・レイノルズ自身までもが皮肉の対象になっている。

Joe Lederer / Twentieth Century Fox via AP

「デッドプール2」は前作同様凶悪で暴力的だが、最大の被害者は恐らくスーパーヒーロー映画のコンセプトそのものだろう。デッドプールはアンチ・ヒーローで、彼の遠い親類であるスーパーヒーローが持つ道徳的な明快さ、真剣さ、お決まりのバトルシーンを面白おかしく模倣する。原作がマーベル・コミックの漫画なので、デッドプールはとりわけライバルのDCコミックスを好んで風刺する。「暗すぎるな」とデッドプールは他のスーパーヒーローに向かって言う。「DCコミックス出身なんじゃないか?」

 本作では前作で脚本を手がけたレット・リースとポール・ワーニックが再び脚本を担当し、前作のラストと同じ幸せな家庭の中でも消えない金銭的な欲望を見出すところから始まる。しかし「デッドプール」が起源の物語だったとすると、「デッドプール2」は探求の物語であり、今回は時空を旅する兵士であるケーブル(ジョシュ・ブローリン)と出会う。ケーブルは彼がXフォース(皮肉っぽく「それってパクリじゃないのか?」と聞く向きもあろう)と呼ぶミュータント軍団の一員だ。そしてたくさんのスーパーヒーローやミュータントが、エア・サプライやピーター・ガブリエル、「アニー」のサウンドトラックやみだらな歌詞のオリジナル曲などの活気に満ちたサウンドトラックに乗って登場する。斬首シーンの最中でも奇妙に心地よく感じる映画があるとすると、それは本作だ。

 前作で好評だった俳優陣も、ほんの短い出番の場合もあるが、幾人かは本作に出演している。ハウスメイト役のレスリー・アガムズ、恋人役のモリーナ・バッカリン、タクシー運転手のカラン・ソニなどだ。新しいキャラクターは強い印象を残すには至らなかった。しかしドラマ「アトランタ」出身のザジ・ビーツは別である。彼女は運任せの、強くて無慈悲なスーパーヒーローを演じている(彼女が主人公の映画もぜひ観たいものだ)。

Twentieth Century Fox via AP

 もちろん、デッドプールは、「CGアニメーションの戦闘シーンが観られるぞ!」とわくわくしたり、「退屈な脚本だな」と悪口を言ったり、格好いいシーンの後で「スローモーション撮影したのかな」と驚嘆したりすることで、今までの映画では考えられない方法で、複雑なプロットを和らげてくれる。ティム・ミラーに代わって本作ではデイビッド・リーチが監督を努めているが、特殊効果にも目立ったトーンの違いやクオリティの低下はなく、シリーズを通して優れていることは変わりない。加えて、前作で驚くほどの成功を収めたことで資金面もより潤沢になり、トラックを用いた派手なカーチェイスや、デッドプールの脚が半分に切られた後再生し、しばらく赤ちゃんのような脚が生えているというおかしな場面も増えている。

 レイノルズの、いたずらっぽくニヒルな主人公としての活躍ぶりは健在である。特殊メイクを顔に施したままあまりにも飛んだり跳ねたりするので、しばしば溶けたチーズの中にいるように見えたり、前作のセリフのように「年取ったアボカドと恋仲になったアボカド」のように見える。

「デッドプール2」の面白さを本当にわかるためには、恐らく前作や、マーベル製作の他のスーパーヒーロー映画を全部観ている必要があるだろう。さらに、シェールからブロードウェイのミュージカルに至るまで、ポップカルチャーにも通じていたほうがいい(ラストに理解を試す質問があるわけではないが)。ラストといえば、終わりだと思った時にくれぐれもすぐ席を立たないようにしてほしい。そして「デッドプール3」をお楽しみに。

編注:『デッドプール2』は6月1日から全国公開。

By MARK KENNEDY, AP Entertainment Writer
Translated by Y.Ishida

Text by AP

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