平昌五輪は歴代最高のオリンピックだった? 韓国、海外からの高評価に沸く

Ververidis Vasilis / Shutterstock.com

 2月25日に閉幕した平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック。氷点下20度を下回る厳しい寒さや強風のため本来の力を出し切れなかった選手もいた。しかし92ヶ国から2920人の選手が参加した今大会は無事にフィナーレを迎えることができた。3月8日からはパラリンピックが10日間にわたって開催されているが、韓国メディアの興味はすでに大会評にあるようだ。

◆大会設備、宿泊施設などは歴代最高?
 韓国日報など各紙は、海外メディアによる大会評価をこぞって伝えた。米・ニューヨークタイムズ紙は「スタジアムの設備、宿泊施設、食事、運用能力は歴代最高」と絶賛。CNN放送は「確実に平昌五輪は思い出になる」とし、ロイター通信は閉会式で選手たちが歌って踊るなど「活気に満ちた閉会式だった」との評価を与えた。

 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は、テロなどの恐怖にさらされることなく終えたことに対して「安全なオリンピックだった」と述べ、「平和のメッセージを強力に伝えることができた」との賛辞を送ったようだ。また、ドーピング(禁止薬物)の使用がわずか2件だったことにも触れ、「クリーンなオリンピックだった」と今大会に参加した選手たちの清廉性を褒め称えた。

 また選手村に対する評価で、聯合ニュースは2016年のリオデジャネイロオリンピック(ブラジル)と比較し、「水漏れ、火災、盗難などあらゆる不平不満が訴えられたリオの選手村などと比べると(江陵は)”新世界”である」と自画自賛。唯一、届いた苦情といえばドアのロックや電灯のオンオフを管理する最新型のスマートスイッチがハングル語で書かれていたため、外国人選手には難しかったといったものだった。

◆運営費、赤字から黒字へ
 また、当初は赤字と予測された大会運営費も結果的に黒字となるようだ。韓国経済紙のマネートゥデイによれば、当初、大会運営コストは約2兆8000億ウォン(推定値)で、2兆5000億ウォンの収入が見込まれ、約3000億ウォンの赤字となるだろうと予測されていた。しかし、企業やスポンサーの後援金が増えてチケット販売が増加した結果、黒字に上方修正。大会組織委員会は目標だった106万枚を上回る合計107万8562枚のチケットが販売されたと発表した。

◆政治色の見えない五輪開催を
 大会総評でバッハ会長は「平和オリンピック」が行われたと絶賛した。しかし、開幕前にアイスホッケーで北朝鮮選手と韓国選手の混合チームが急遽発表されるなど、スポーツの政治利用とも取れる采配も目立った。閉会式ではイヴァンカ・トランプ米大統領補佐官と北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)高官が接近するなど、政治ニュースが絶えない大会であったと言える。

 一方で、日本にとっては歴代最多となる13個のメダルを持ち帰る大会となった。2020年の東京オリンピックではスポーツのみを純粋に楽しめるような大会を期待したい。

Text by 古久澤直樹