特別だった南北合同チームの日本戦 統一への希望も アイスホッケー女子

Frank Franklin II / AP Photo

 平昌五輪のアイスホッケー女子予選リーグで、韓国と北朝鮮の合同チームが日本と対戦した。合同チームは敗れたが、分断された2国が力を合わせて過去の支配者日本と戦う姿は、多くの韓国人に希望と感動を与えたようだ。しかしこれが五輪の政治利用だという批判の声もある。

◆初ゴールで感激。韓国人ファンが会場に集結
 ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)によれば、日本対合同チームの試合会場は、選手の家族と思われる日本人の一団以外は、ほぼ韓国のファンで占められていたという。観客の数は、その前のスイス戦、スウェーデン戦を上回る数だった。おなじみとなった北朝鮮の女性応援団とともに、統一された朝鮮半島の地図を描いた旗を振るファンが選手たちに終始声援を送っていたという。

                                                                                                                 

 合同チームは4-1で敗れたが、もっとも盛り上がった瞬間は、オリンピックでのチーム初ゴールをグリフィス選手(注:母親が韓国人のアメリカ出身選手)が決めたときで、韓国人ファンは飛び上がって祝福した(AP)。同選手は、日本戦が何よりも南北を団結させてきたとし、皆でこの試合に勝とうと話していたと述べた(NYT)。

◆植民地の過去はスポーツにも影響。複雑な日韓関係
 APは、日本と韓国のスポーツの試合はしばしば愛国心やねたみを練り込んだ、歴史や政治の有毒な混ぜ物になると表現し、日本の植民地時代に経験した過去を、多くの韓国人がスポーツと切り離せないでいるとする。韓国と北朝鮮には、70年間分断され、いまだに事実上戦争状態にあるという共通の事実がある。アイスホッケーの試合で協力すること以上に、共有する日本への憎しみが最も強く南北を結びつけたと見ている。

 NYTも、合同チームにとって、過去の関係から日本は特別な相手だと指摘するが、試合そのものは礼節を持って進んだと述べる。日本チームが得点してもブーイングは起こらず、韓国人ファンは即座に合同チームに「大丈夫、大丈夫」と声をかけたという。多くの人々は政治的歴史的な観点からゲームを見に来たのは事実だが、合同チームのゴールに感激し、ゲームの中に統一の希望を見出した人もいたと同紙は指摘している。

◆融和ムードは五輪まで。北朝鮮は変わらない
 日本対合同チームの試合が、「気持ちの戦いで、北朝鮮に韓国を奪われる」という日本とアメリカの懸念を具現していると、カーネギー国際平和基金のジム・ショフ氏はNYTに述べる。平昌五輪で韓国に意識的に温かく接する北朝鮮が日米韓の協力にくさびを打つことになるのではないかと、日本の心配を煽っているとNYTは指摘している。
 
 しかしながら、シンガポールのストレーツ・タイムズ紙の欧州特派員、ジョナサン・エイアル氏は、この南北友好ムードは一過性のものだと見ている。実は2000年のシドニー大会、2004年のアテネ大会で、北朝鮮と韓国はともに行進し、そのたびに「歴史的」と讃えられ迅速な和解が予測されてきたが、結局そうはならなかったと指摘する。

 過去の大統領たちと同様に、いまや文大統領はオリンピック後に来る冷めた外交関係で笑いものになるのをどうやって避けるかという問題に直面しているとエイアル氏は述べ、冬季五輪で政治の金メダルに賭けてはいけないと苦言を呈している。

Text by 山川 真智子

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