『DEVILMAN crybaby』海外メディアでも好評「最高でもっとも衝撃的」

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 古典的名作アニメ『デビルマン』の最新シリーズとなる『DEVILMAN crybaby』が、ネットフリックスで1月5日から全世界で配信を開始した。ネットフリックス初の日本産アニメシリーズとなる本作に、海外では早くもどっぷりハマるファンが出ている。暴力的・性的シーンを多く含むことから「自己責任で」観るべき(ヴァージ誌、1月21日)などの但し書きが目立つが、好きな人は非常に気にいるだろうとする好意的な紹介記事が各誌に掲載されている。

◆暴力、セックス…刺激的なビジュアル
 ニューズウィーク誌(1月11日)は新『デビルマン』シリーズを「最高でもっとも衝撃的なネットフリックスのオリジナルアニメ」と断言する。日常世界にデビルが存在するという設定はアメリカ人には受け入れづらいものの、「ここまでゴージャスかつ衝撃的なシリーズを見逃すのはもったいない」との評価だ。

 同誌は暴力と性描写が本作の特徴の一つだと捉えているようだ。第1話では主人公の明(あきら)が友人の了(りょう)に誘われ、乱行パーティーに出かける。パーティーの最中、了は悪魔を誘い出す目的で周囲の若者を切りつけ、血しぶきが飛び散るなど、暴力と性描写が目立つ。

 フォーブス誌(1月16日)では、執筆業を営むほかコミックにも造詣の深いロブ・サルコウィッツ氏が所感を綴っている。強烈なビジュアルとトーンの激しい変化は観る人を選ぶが、現代のアダルト指向のアニメファンの強い興味を引くと感じたようだ。特に第1話のビジュアルに真価があり、「アニメの慣習を極限まで押し上げる」と絶賛している。

◆心の弱さが主人公の強み
 映像のチカラだけではなく、心に訴える物語性も『DEVILMAN crybaby』のポイントだ。ヴァージ誌は主人公の精神面に注目する。デビルマンとなった明は強い肉体を手に入れるが、内面では元の性格を保っており、世界で起きている不条理に心を痛めるなど「依然として過度に繊細で涙を流しがち」である。親切心や感受性は男性の弱点とみなされることが多いが、「明にとっては、これらが彼の強みだ」と讃え、ありがちな男性像に流されない本シリーズにエールを贈る。

 また、寓話的側面があるのではないかと同誌は指摘する。ストーリーが進むにつれ、人類は悪魔とみなされた者への迫害を始めるが、同誌は、外見の異なる人を攻撃するという行動は現代の偏見を示唆するメッセージなのではないかと推測。人間自身が本当の悪魔かもしれないという辛辣なメッセージを感じたようだ。

 フォーブス誌では、ありふれた超自然ホラーに始まる本作が、深く暗い面の探求に急ハンドルを切ることを特徴の一つと見ている。人間性、宗教、社会制度の脆さといったテーマが見え隠れする点で、人気作品『デスノート』とのつながりを指摘している。双方とも漫画が原作であり、超人的な力を身につけたティーンエイジャーの悩みから始まるストーリーが、やがてグローバルな規模のスリラーに発展してゆく。こうした深いテーマへの波及も本作の魅力と言えるだろう。

◆ストーリー展開も見逃せない
 ニューズウィーク誌では、ストーリーには聖書を基にした「ひねり」がある時点で登場し、それが本作を月並みな少年漫画と一線を画すレベルに押し上げていると述べる。完結までには相当ショッキングな展開になるため、凝った筋書きが好きなら一見の価値はあるだろう。

 フォーブス誌は、スタイルが気に入ったり、ホラー的表現が好きだったりする人にはオススメだとしている。興味のある読者の方は、まずは第1話を途中まで鑑賞してみるのも良いかもしれない。ただし、ヴァージ誌は「極めてNSFW(Not Safe For Work; 職場閲覧注意)」としているので、鑑賞場所にはご注意を。

Text by 青葉やまと