「胸の高鳴りを感じた」華麗なデコトラの世界、海外も魅了
◆実用性と義理人情
アメリカの影響を受けたドリフト走行ブームなどとは異なり、デコトラは完全に日本で育まれた文化であるようだ。アルステクニカ誌は、「趣味をエクストリームに行う日本固有の能力」が遺憾なく発揮されているとしている。
趣味性を強調する同誌に対し、CNNでは実用面に着目する。デコトラに心酔するロンドンの写真家はCNNのインタビューに応じ、単なるデコレーションではなく、実際に使われている業務車両である点がユニークだと魅力を語った。全盛期には東京のあちこちでデコトラが魚を配達したりする姿が見られたとのことだ。
デコトラは見た目に華々しいだけでなく、頼れる存在でもある。愛好家団体『全国哥麿会』ではボランティア活動に取り組んでおり、救援物資の運搬や炊き出しなどを通じて津波の被災地地域に貢献したとのことだ。映画『トラック野郎』の義理人情に厚いキャラクターが、まるでそのまま具現化したかのようだ。
会長の田島氏は、自身のトラックを子供、兄弟、家族の代わりになる存在だと述べている。ドライバーらは、時間が経つにつれて家族の一員のような感情が沸くため、墓場まで連れていければ理想的だとしている(CNN)。
◆アメリカで流行の兆し?
米誌ザ・ドライブでは、デコトラは日本独自のカルチャーだとしている。アメリカでは手作りの改造車でスピードを競う「ホットロッド」が流行しているが、デコトラは純粋に審美的なものであることから、アメリカにはまだない文化だとのことだ。
アルステクニカ誌では、愛好家らが全国から集まるデコトラのイベントは、「アメリカのホットロッドの軍団を凌ぐに足る輝きがある」と褒めちぎる。また、海外でも認知が広がっているようだ。グッチは2016年、グローバルな広告キャンペーンにデコトラを起用し、華やかな車体を背景にモデルがポーズを決めた。また、バージニア州のカーディーラーがデコトラをマスコットに採用したほか、マテル社のミニカーのラインナップにも登場している。アメリカで雪だるま式に関心が膨れ上がる可能性があると同誌は見ているようだ。
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