英国で一番人気のクリスマスソングは? 学術的な調査で判明したのは……

Yiorgos GR / Shutterstock.com

 毎年この時期になると、街角やテレビ・ラジオなどでクリスマスソングをよく耳にする。新曲から古典的名盤まで多くが流れるが、欧米ではお気に入りの一曲にかなりのこだわりを持つ人々もいるようだ。デイリー・メール紙は、「この時期にどの曲をかけるかを巡る家族の争いは、大昔からクリスマスシーズンの家族の揉め事になっている」とクリスマス事情を紹介する。この問題に終止符を打つべく、学術的な調査により、ついに至高の一曲が決まったようだ。

◆堂々の第1位は「クリスマスの女王」による名曲
 この調査はイギリスのクレイグ・アンダーソン博士が、研究チームとともに本業の傍で行ったものだ。学術ニュースサイト『ザ・カンバセーション』によると、2016年以前の実に9年間にわたるイギリスでの販売チャートを元にしており、トップ10、20……100にチャート入りした期間に応じたポイント制でランクが決定された。

 第1位に輝いたのは、マライア・キャリーの『恋人たちのクリスマス』で、さすがは「クリスマスの女王」の異名を持つだけのことはある。ニュー・ステーツマン誌では本人はこの称号に困惑していると伝えているが、いずれにせよ、誰もが耳にしたことのある名曲が1位に選出される結果となった。この曲は2位のザ・ポーグス&カースティ・マッコールによる『ニューヨークの夢』と並び、3位以下にダブルスコアを付けて圧勝している。他のクリスマスソングはトップ10入りしていない一方、これら2曲は最高でチャート4位に食い込んだことが高得点に結びついた。

 デイリー・メール紙では『恋人たちのクリスマス』について、すでにクリスマスアルバムの金字塔だったところへ、ラブコメ映画『ラブ・アクチュアリー』への起用が重なり、人気が加速したと見ているようだ。

◆イギリスが面目を保った別ランキング
 アメリカのシンガーがイギリスのチャートを制した形だが、ツイッター上のアンケートではイギリスの2バンドが1位・2位を独占した。エンタメニュースサイト『デジタル・スパイ』によると、イギリスの人気司会者リチャード・オスマン氏は、クリスマスシーズンのベストソングをツイッターで募集した。最初こそマライア・キャリーらが圧倒的だったようだが、投票期間の終盤には、共にイギリスのバンドであるワム!とザ・ポーグスの一騎打ちにもつれ込んだ模様だ。結果的にポーグスの『ニューヨークの夢』が首位を獲得し、母国の面目を保った。

 この2曲は前掲のアンダーソン博士による調査でもランク入りしている。ワム!の『ラストクリスマス』は86年、ザ・ポーグスの『ニューヨークの夢』は87年のリリースだ。同調査のトップ20のうち、実に17曲が20年以上前の曲になっている。懐かしさを帯びた曲が、ホリデーシーズンの暖かなイメージにピッタリということだろう。

◆アメリカ人ライターも納得!
 以上はイギリスでまとめられたランキングだが、アメリカ人にとっても馴染みの曲が多いようだ。ニュー・ステーツマン誌でも独自のランキングを発表しているが、1位にイギリスのランキングにも登場しているビング・クロスビーの『ホワイト・クリスマス』、2位に『恋人たちのクリスマス』がランクインしている。同じ英語圏同士で似た曲が好まれており、クリスマスの定番になっているようだ。なお、こちらのランキングはあくまで「高度に科学的な手法」で選ばれており、「コラムの締め切り日の朝、あるアメリカ版ステーツマンのライターがバスローブ姿でクリスマスのプレイリストをスクロール」して決めたわけではないとしている。

 欧米ではホリデーシーズンの名曲をめぐり、各自こだわりがあるようだ。クリスマスに向けて日本でも、ランキングの名曲からお気に入りのプレイリストを用意しておくのも楽しいかもしれない。

Text by 青葉やまと