ゴルチエ自伝のミュージカル舞台、来年秋に公演 90年の悲劇も描く

Francois Mori / AP Photo

【パリ・AP通信】 フランスのファッションデザイナー、ジャン=ポール・ゴルチエ氏が生み出したすべてのコルセット、輝き、そして挑発が、世界各国の劇場にまもなくお目見えする。

 11月8日、ジャン=ポール・ゴルチエ氏(65)は、2018年秋に向けて音楽満載の痛快な“ショー”を製作中であると発表した。デザイナーとしてのゴルチエ氏のルーツから世界的な名声を得るまでの氏の波乱万丈の人生を舞台化する。

「このショーは、私の人生の記録です」と、パリのアトリエで行われたAP通信のインタビューでゴルチエ氏は語った。

 舞台を作りたいという子どものころからの夢を、歌と踊りと芝居を融合させたレビュー形式の作品で実現させるゴルチエ氏。作中では、映画製作者からポップスターまで、氏のファッションに影響を与えた人々が描かれる予定だという。

『ファッション・フリーク・ショー』(Fashion Freak Show)と題したこの作品は、2018年10月にパリで行われるプレミア公演を皮切りに世界ツアーを予定している。とはいえ、脚本はまだ完成しておらず、2年前にこのプロジェクトに取り組み始めてから決まったキャストと製作スタッフは半数ほどだ。

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ジャン=ポール・ゴルチエ氏 Francois Mori / AP Photo

「幕開けは1976年。私の生まれた年じゃないですよ、私の最初のコレクションの年です」と、おどけたフランス風のアクセントでユーモアたっぷりに語った。

 ショーでは、テディベアをおしゃれに変身させた9歳のころから、激動の80年代のパリ、そして、かの有名な『ブロンド・アンビション』ツアーのコルセットをデザインしたマドンナとのコラボレーションまで、ゴルチエ氏の人生の40年(氏曰く『私のキャリアのさまざまな時期』)の紆余曲折が描かれる予定だという。

 マドンナ、カイリー・ミノーグ、ビヨンセのためにデザインし、3人が実際に着用したきらびやかで幾何学的なコルセットを嬉々として見せ、

「これも全部出しますよ。すべてね」とゴルチエ氏。

 ショーには、某有名人がサプライズ出演する予定だという。

 そして、ショーでは、ユーモアをもってしてもごまかせない人間性を持つゴルチエ氏の人生で最も暗い時期も描かれる。

 1990年、パートナーのフランシス・ムニュージュ氏をAIDSの合併症で亡くし、ゴルチエ氏は悲嘆に暮れた。

「あの時は、ファッション(の仕事)をやめるべきかもしれないと思いました…… やめてしまいたかった。それで、『ノー』と言ったら、やめられなかった。(ファッションは)私たちが一緒に作ってきた、私たちの宝物だから、私は続けていくつもりです」

 アメリカとヨーロッパのゲイコミュニティを襲った伝染病を忘れてはならない、そして、この病気の影響に関する教育を続けていかなければならないと語った。

 奇妙な話題とシリアスな話題を目まぐるしく交互に、時には織り交ぜてゴルチエ氏は語った。

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白い綿毛のようなブライダルカーの上でポーズするジャン=ポール・ゴルチエ氏 Francois Mori / AP Photo

 最新のオートクチュールショーのためにデザインした、白い綿毛のようなブライダルカーの上でポーズを取りつつ語ったところによると、ショーでは「同性婚」をフィーチャーするそうだ。

 2013年に可決され、フランスを二分した同性婚解禁法に対する抗議運動を取り上げる予定だという。

By THOMAS ADAMSON
Translated by Naoko Nozawa

Text by AP