調理前に食品をアルミ箔で包んではいけないのはなぜ?

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著:Ghada Bassioniアインシャムス大学 Associated Professor and Head of the Chemistry Department)

 魚を焼いたり、野菜を炙ったり、今夜の夕食のために肉を調理するために、食品をアルミ箔で包むこともあるかと思う。誰も気づいていないであろう重要なことは、アルミ箔の成分の一部が調理した食品に浸出する、ということだ。そしてこのアルミニウム成分が健康に悪影響を及ぼしかねない。

 私は同僚たちと一緒に実施したグループ研究において、食品を調理する場合のアルミニウムの使用法を考察した。アルミニウムはアルミ箔として使われるだけではなく、発展途上国の人々に最も人気のある調理器具として使われる。多くのポットや鍋はアルミ製であり、大きなサービングスプーンなど調理器具にもアルミ製のものはたくさんある。調理器具としての役割を果たすために銅が使用されてきたが、時間の経過とともに、安価に大量生産が可能で清掃が容易なアルミニウムで置き換えられていった。

 アルミ製のポットや鍋で食品を調理するのは悪いことではないが、食品をホイルで包んでオーブンに入れることは問題がある。これは高温で調理される酸性の食品、もしくはスパイシーな料理に関して特に言えることだ。

◆アルミニウムと健康
 人体は少量のアルミニウムを非常に効率的に排泄することが可能だ。これは、アルミニウムへの最小限の曝露であれば問題がないことを意味する。世界保健機関は体重1キロ当たり40mg/kgという一日当たりの安全なアルミニウム摂取量を確立している。従って、体重60kgの人にとっては、アルミニウムの1日当たりの許容摂取量は2,400mgになる。

 しかし、大半の人々がこの1日の安全な許容摂取量を遥かに超える量のアルミニウムに曝露し、または摂取している。アルミニウムは、トウモロコシ、イエローチーズ、塩、ハーブ、スパイス、お茶などに含まれる。そしてアルミニウムは上で述べたような調理器具や制酸剤または制汗剤といった薬理作用のある物質に使用されている。アルミニウムから生成される硫酸アルミニウムは、飲料水の精製過程では凝固剤として使用されている。

 科学者たちは、アルミニウムへの過剰な暴露が人間の健康に脅威を与え得るかどうかを探究している。一例を挙げると、アルツハイマー病の患者の脳組織からは高濃度のアルミニウムが検出されている。科学者たちは、アルツハイマー病に罹患した高齢者のコミュニティを調査し、社会の工業化に伴う生活条件の変化が引き起こした現代病である、と結論づけた。これらの生活条件には、日常生活における高いレベルのアルミニウムも含まれるだろう。

 アルミニウムは他にも健康上のリスクをもたらす。研究によるとアルミニウムの多量摂取は、骨疾患または腎障害を有する一部の患者にとって有害であろうことが示唆された。アルミニウムはヒトの脳細胞の増殖速度も低下させる。

◆調理にアルミ箔を使うのは避けよう
 これらすべての実証済みリスクを考慮すると、調理時のアルミニウム濃度をきちんと見極めることが重要だ。ポットや他の調理器具は、酸化されることでアルミニウムが食品中に浸出するのを防ぐ不活性層を形成する傾向がある。問題は、調理後に鍋をこすって洗うとこの不活性層が剥がれ、アルミニウムが食品に染み込み得るようになる、ということだ。しかしこれは簡単に回避できる。新しいアルミ製のポットを入手したら、水を入れ、底部が艶消しになるまで数回火にかけて沸騰させる。こうしてアルミニウムの浸出を防止する自然酸化を起こすことができる。きれいに洗浄され、光り輝いている調理器具は美しく見えるかもしれないが、艶消し色をまとった調理器具のほうが食品や健康にとってはより望ましい。

 しかし、アルミ箔で食品を調理することはまた別の話となる。アルミ箔は使い捨てであり、使う前にそのような不活性層を作成することができない。私は自身の研究で、調理中、アルミ箔で包まれた食品へのアルミニウムの移動量が世界保健機構によって設定された許容限度を超えることを発見した。

 アルミニウムは、アルコールまたは塩を含有する食品よりも、レモンやトマトジュースのような酸性で液体の食品へ高いレベルで浸出していく可能性が非常に高い。アルミ箔で調理された食品にスパイスが加わる場合、浸出量はさらに増加する。酸性の食品は特に活発な反応の火付け役となり、アルミニウム層を溶解して食品に浸出させる。

 この研究結果は、アルミ箔を調理に使用すべきではない、ということを端的に示唆している。代わりに、高温で調理する場合は、ガラス製品や磁器を用いることを推奨したい。冷たい食べ物ならアルミ箔で包んでも安全ではあるものの、食品には保存期間があり、アルミ箔中のアルミニウム成分がスパイスなどの含有成分に応じて食品に浸出し始めるため、長期間アルミ箔で包んだままにしておくことは望ましくない。

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by ka28310 via Conyac

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