動物の顔に表れる感情ーペットはハッピーか?

Grigorita Ko / Shutterstock.com

◆第一フロンティア、痛みの認識
 これまでのところ、非霊長類動物の痛みのコーディングシステム(しかめ顔のスケール)のみが科学的に開発されている。異なる解剖学的構造を持っているにもかかわらず、 マウスラットウサギウマ、およびヒツジ子ヒツジを含む)は、すべて同じような痛みの顔をする。 目をきゅっと細め、頬を膨らませたり平らにし、耳をぴんとしたり、口を緊張させたりする。

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子ヒツジは、痛みを感じているときにしかめ面をする動物の1つである。

 しかめ面のスケールの開発の推進はおもに、研究室や食品目的で使用される動物の福利を評価してそれを向上させるという、我々の欲求と倫理的義務から来たものである。

 理想としては、検査のために血液を採取したり、心拍数をモニタリングしたりするのではなく、動物を単に見るだけで動物がどのように感じているかを正確かつ確実に知る方法が必要である。 彼らの感情状態を知ることによって、痛み、退屈あるいは恐怖を軽減させる方法を変え、理想的に好奇心や喜びを助長することができる。

 動物、特に社会的動物は、我々と同じ理由で表情を進化させてきたかもしれない。つまりその目的はお互いにコミュニケーションをとることであり、犬の場合は人間とコミュニケーションをとることである。

 特に餌食動物の場合、例えばグループの他のメンバー(捕食者ではない)がキャッチできる微妙な合図は、安全面で役に立つ。 疼痛顕示行為の合図は、他のグループのメンバーからの助けや慰めを引き起こしたり、痛みの原因から遠ざかるための警告として役立つ。

 理論的には、しかめ面を解読することができれば、喜びや悲しみなどの他の感情に対する表情も理解できるはずだ。 また我々はおそらく、人間の心に最も近い動物、すなわちペットの表情を理解したいと思うだろう。

◆動物の感情を読みとるスマートフォンアプリ
 ペットの飼い主や農家や獣医が、犬や羊や猫にスマートフォンをかざして、動物たちが表している特定の感情をアプリに伝えられる日がやってくるかもしれない。

 しかし、自動感情識別システムに到達するには、多くのステップが必要である。 1つ目のステップは、感情を種別ごとに異ならないテスト可能な方法で定義することである。

 2つ目は、制御された実験環境における感情表現に関する記述ベースラインデータを収集することである。 これを行う1つの方法は、特定の感情を引き出し、その生理学、脳パターン、行動および顔がどのように変化するかが見える状況に動物を置くことであろう。 どんな変化も、それらを表情と呼ぶのに十分な程に信頼すべき筋から起きる必要がある。

 我々はすでにいくつかのヒントを持っている。うつ状態の馬は、休息していなくても目を閉じている。 恐怖を感じている牛は、頭の上で耳を垂らし、目を広げる。 楽しんでいるラットは、耳を赤くして前方や外側にピンとむける。

 データを収集したら、その科学的情報を自動化された技術システムに変える必要がある。画像からキー顔面動作ユニットを抽出し、それらの特徴が、ニュートラルベースライン表現とどのように異なるかを計算することができるシステムが必要である。

 また、顔の特徴の個体差だけでなく、個人が感情を表現する方法の微妙な違いにも対処できるシステムも必要である。 顔が十分に照らされておらず、角度により、または部分的に覆われているも、特徴抽出および計算のプロセスがまた困難になるか、あるいは失敗する。

 我々は人間の表情識別の自動化において進歩を遂げているが、動物の場合はまだ長い道のりである。 より現実的で短期の目標を立てるとすれば、それは動物がどの感情をどのように表現するかを理解することである。 そしてその答えは我々の顔を真っすぐに見つめていることだろう。

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by yoppo

The Conversation

Text by The Conversation