時代は変わる--強くて元気なホラー映画の女性たち

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◆ホラーのルネサンス
 まあ、これは納得の結果といえるだろう。最近のガーディアン紙の記事でも、いかに女性がこのジャンルで歴史的にもてはやされてきたかが論じられている。『キャリー』『ディセント』『ウィッチ』など、数多くの人気ホラー映画に女性が重要な役で登場してきた。

 そう、かねてよりホラーは女性に関心を持ってきた。昔から、殺人鬼やモンスターの餌食になるのは、声を限りに叫ぶ女性や少女たちだ。

 しかし、その役割は時代とともに変化している。この10年ほどでホラーのルネサンスが起こっているようだ。

 女性を餌食にして楽しんでいたホラーは、生存者や主人公として女性を描くようになった。残虐なポルノ映画だったホラーは、社会問題を扱ったり美しい映像にこだわったりする、中身のある繊細な映画へと転換を図っているのだ。

 2017年の始めに大ヒットしたジョーダン・ピール監督の『ゲット・アウト』は、人種問題に切り込み、若く美しい白人女性を悪役に据えた。2015年、ロバート・エガース監督の時代劇ホラー映画『ウィッチ』が予期せぬ大ヒットを収めた。ロッテン・トマトで91パーセントという肯定的な評価を得た『ウィッチ』は、史実に忠実でありながらフェミニスト的な視点を持つ物語で観客を魅了した。清教徒時代のアメリカを舞台に、若き主人公トマシンが、彼女を魔女だと決めつけ、家族を襲うすべての不幸を彼女のせいにする親きょうだいと戦う。彼女は紛うことなき普通の10代の少女なのだが、男たちが支配する文化においては危険な生き物だと、この映画は言っているように思える。

 『ゲット・アウト』『ウィッチ』のほかにも、『イノセント・ガーデン』『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』『REC/レック』『死霊館』『ジンジャー スナップス』『アメリカン・ドクターX』『ジェニファーズ・ボディ』『サプライズ』など、女性が主役のホラー映画はまだまだある。

◆変わりゆく女性たちとストーリー
 『ハロウィン』『13日の金曜日』『悪魔のいけにえ』『エルム街の悪夢』に見られるように、過去数十年にわたり、ホラー映画に登場する性欲の強い女性は性的な罪に対する罰として早々に死ぬ傾向にある。

 この傾向を覆すのが、『イット・フォローズ』(2015)だ。マイカ・モンロー演じる若き女性主人公ジェイは、デートの相手とセックスしたために目には見えない謎の追っ手と戦う羽目になる。しかし、『イット・フォローズ』は、ジェイやほかの女性登場人物をセックスの廉で罰しようとはしない。ある批評家は、社会や友人や家族から受けた扱いによるレイプ被害者のトラウマを強調することで、『イット・フォローズ』はレイプ・カルチャーを批判しているという興味深い主張を展開している。高い評価を得たこの恐ろしいホラー映画は、私たちがかくありたいと願う少女としてジェイを描いている。彼女は謎を探り、迫りくる敵に反撃し、最後に勝利するのだ。

 とうの昔にやり尽くされたようなシリーズでさえも、女性を主人公にしてリブートされようとしている。オリジナルの『悪魔の棲む家』(1979)は、ニューヨーク州アミティヴィルにある家で起きた実話を元に製作された。幽霊屋敷に脅かされ崩壊する核家族の物語は、12作の続編やスピンオフを生んだ。

 そして、2017年夏、『悪魔の棲む家』シリーズの新たな続編『Amityville: The Awakening(原題)』が全米公開予定だ。ジェニファー・ジェイソン・リー演じるシングルマザーとベラ・ソーン演じる娘が、悪名高いこの家で暮らすことを余儀なくされる。本作のポスターでは、ベラ・ソーンの顔が家の上に重なっており、彼女が恐怖の家よりも重要である(そして力強い)ことを示唆している。

 私たちの社会のさまざまな領域において女性の役割は拡大し続けており、ホラー映画の中で同じ現象が起きているのは当然のことだ。『ワンダーウーマン』の大ヒットを受け、ほかのジャンルが早々にホラー映画に倣い、主人公やヒーロー、はたまた時には魔女として女性を活用することを願うばかりだ。

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by Naoko Nozawa

The Conversation

Text by The Conversation