どのスポーツが健康と長寿のために最善であるか?
著:Zeljko Pedisic(ビクトリア大学 Senior research fellow)
世界中において何百万人もの人々がスポーツ活動に参加している。これには、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパの各人口の約60%も含まれている。2015年の調査によると、特定のスポーツ分野の長期的な健康への効果に関する入手可能なデータは限られていた。しかし、新しい研究により、いくつかの一般的なスポーツに参加をすることが死亡の危険性を大きく減らすことと関連づけられるという有力な証拠が提供された。
不十分な身体的活動が原因で年間5百万人以上の人々が若くして死亡していると推定されている。心臓病、2型糖尿病、癌など多数の慢性病のリスクを減らすため、世界保健機構は成人や高齢者が最低でも週に150分は身体的活動に従事することを推奨する。
このような推定やガイドラインは主に中強度~強強度の身体的活動に参加した結果についての研究に基づいている。しかし、どの身体的活動をするかということによって結果に違いが生まれないのだろうか。
近年、身体的活動をおこなう特定の領域(職場、移動、家庭、余暇)や種類(ウォーキング、サイクリング)がどのように健康に影響するかという研究への関心が高まっている。
例えば、ウォーキングとサイクリングは同様に死亡の危険性の削減に関連付けられる一方で、余暇時間や日常生活の領域での身体的活動は、職場や移動に関連した身体的活動よりも、より大きな効果をもたらすようである。つまり、健康の観点から見て、どの身体的活動を行うかが重要かもしれないということだ。
◆どのスポーツが健康のために最善であるのか?
全体的に高いレベルのスポーツや運動に参加している成人は、ほとんど、もしくはたまにしかそのような活動をしない人々よりも、死亡の危険性が34%低い。しかしながら、この包括的な証拠からは、全てのスポーツが平等に健康に影響するのかどうかには分からない。
先ほども触れた2015年の調査は、26のスポーツ分野に参加することの健康への効果に関する入手可能なデータの結果をまとめた。この調査により、走ることとサッカーをすることで心臓の機能、有酸素能力、新陳代謝、バランス、体重状態とが改善されるという、条件付き、または適度に有力な証拠が明らかになった。サッカーは更に筋力にも効果があることが示された。他のスポーツに関しては、証拠が不十分であったり、不一致であったりした。
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