さようならPS3、幕引きを静かに見守る海外ファン “悲しいが役割は終えた”
ソニーは先週、PlayStation 3の国内出荷終了をアナウンスした。2006年11月11日に日本で発売されて以来、同プラットフォームは国境を越えて親しまれている。このニュースを海外ファンとメディアはどう受け止めているのだろうか?
◆成功したハードウェア
タイム誌は出荷終了の一報を取り上げ、PlayStation 3を成功したゲーム機として振り返っている。約11年前の発売以来、全世界で8400万台を販売したというデータを紹介。これはマイクロソフトのXbox 360とほぼ同水準の出荷台数だとして健闘を讃えている。北米で人気を集めるXboxを引き合いに出しており、功績を高く評価している格好だ。
一方、フォーブス誌はOllie Barder氏による寄稿記事を掲載しているが、論調はやや手厳しい。同じソニーのPS oneとPS2に比べ、満足できる結果ではなかったとしている。同氏は「したがってPS3の終了を受けて悲しみはあるものの、(同機は)すでに役割を終えている」との見解だ。ただしPS3のおかげでPS4の成功があるとしており、一定の意義があったことは認めているようだ。
◆苦境からの追い上げ
PlayStation 3の道のりは順調ではなかった。発売直後、国内では約6万円(税抜)という高値が話題となったが、アメリカでも最安モデルで$499という値付けが不満を呼んだようだ。フォーブス誌の記事ではこの問題に触れ、発売当初はそれほど魅力的なハードではなかったとしている。
テクノロジー系のニュースメディアである『iDigitalTimes』でも、PS3立ち上げ時の不調を振り返っている。高価なプライシングの他、タイトル数が不足していたとのことだ。その後、アンチャーテッドやメタルギアソリッド4など魅力的なタイトルに恵まれたことにより、起死回生を果たしたと分析している。
こうした経緯はあるものの、現在では非常にメジャーなプラットフォームに成長したという点は各メディアも認めるところだ。
◆終売後も生き続ける
ハードの生産終了で、PS3のソフトはもうプレイできないのだろうか? タイム誌は、PlayStation Nowでのゲームストリーミングサービスが継続されることを紹介している。これは既存のタイトルが今後も後継のPS4とWindows上でプレイできることを意味する。
iDigitalTimesもゲームストリーミングの重要性に注目し、5月時点で483タイトルがプレイ可能だとしている。これは全タイトル数の4分の1弱ではあるが、ソニーは今後も追加を計画しているとのことだ。今後も、より新しいハードで名作を楽しめるのは心強い。
◆ゲームファンの声は?
最後に海外ファンの声を紹介したい。アメリカのゲーム関連記事のサイト『コタク』に寄せられた読者のコメントの中には、同ハードの思い出を振り返るものがいくつかあった。Blu-ray、YouTube、音楽などの再生マシンとしても現役で重宝されているようで、故障してもリペアショップに持ち込んで使い続けたいという意見があった。また、PS3では初期の出荷モデルに限って、PS2タイトルとの下位互換性が確保されている。ブラジルやキューバなどではPS3の公式の修理サービスが提供されていないとのことで、旧タイトルをPS3で楽しみたいユーザにとっては死活問題なのかもしれない。
世界中で愛用されるPS3。その販売終了は寂しいが、ファンは新しいハードで旧作のストリーミングを楽しむことができる。一抹の寂しさはあるものの、PS3は次世代機にバトンを渡したものとして、海外ファンは幕引きを静かに見守ったようだ。
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