【社説比較】東京都議選、自民圧勝 参院選への影響は?

 23日、東京都議会議員選挙の投開票が行われた。
 127議席中、自民党が59議席、公明党が23議席で過半数を大きく上回った。両党は候補者全員が当選した。
 民主党は15議席で、選挙前から半分以下に減少。対して共産党は17議席で、選挙前から2倍以上に増やした。また、みんなの党は、選挙前の1議席を大きく上回る7議席を獲得した。日本維新の会は34人を擁立したが、2議席獲得にとどまった。
 7月の参院選を控えた中、この選挙結果を日本各紙(朝日・読売・産経)はどう報じたのか。

【自公圧勝の背景】
 各紙とも、自公両党が圧勝した背景には、安倍政権の経済政策「アベノミクス」への評価・期待があると分析している。都政に関する争点が不在だったことも影響しているといえる。
 さらに、民主党や維新の会など野党の不振に乗じた面も強いと指摘。確かに、2012年12月の衆院選比例東京ブロックと比較すると、民主は役40万票、維新は約100万票、みんなの党は46万票少ない。候補者数の違いなどで単純比較はできないが、投票数の落ち込み(197万票)とほぼ近い数字であることは象徴的だ。また、静岡県知事選などの地方選では自民党系の候補が敗れることも多い。
 朝日新聞は、この状況に自民党があぐらをかき、なし崩しの方向転換を行うことなどを警戒している。特に、高市政調会長が「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」と語ったことを挙げ、原発再稼働や輸出に前のめりな点を批判している。
 
【悲喜こもごもの野党】
 惨敗を喫した民主党には、各紙とも厳しい。朝日新聞は、経済政策でも原発政策でも、自民党に切り込めなかったと批判。読売新聞も、京座制作など批判のみで説得力に欠けるとして、参院選では政策論争を深めるよう求めている。
 維新の会については、各紙とも、敗因に橋下共同代表の慰安婦発言や、それをめぐる石原共同代表との内輪もめを挙げた。産経新聞は、政党としてまとまりを欠き、有権者の信頼を失ったと断じている。
 議席を伸ばした共産党に対しては、原発ゼロや改憲反対など、政権批判票の受け皿になったとされている。ただ、投票率が低かったため、組織力のある党に有利だったという見方もある。

【参院選へ向けて、各紙の提言】
 朝日新聞は、国政選挙は「風向き次第」で結果が大きく変わるとみている。自民党の慢心を批判しつつ、野党に対しては、原発などで説得力のある対立軸を示すべきと主張している。
 一方産経新聞は、憲法改正に絞った社説を展開。この点に関しては、自民党に対して維新やみんなの党との連携を呼びかけている。さらに安倍首相に対しては、改憲条件に関わる「96条改憲」を装填にするよう求めた。

 総じて、今何が政治の課題であり、どのような方向性を目指すべきかについての各紙の姿勢の違いが現れているといえる。

Text by NewSphere 編集部