南海トラフ地震の被害予測公表 日本各紙が求める対策とは?

 中央防災会議の作業部会は18日、「南海トラフ巨大地震」(M9級)について、最悪の場合、経済的な被害は約220兆円にのぼるとの推計を発表した。また死者は最大32万人、避難者は最大950万人に達すると想定されている。日本各紙(朝日・読売・産経)は、「1000年に1度よりもまれ」な最悪の事態に対する予測をどう受け止めるべきか、それぞれの視点から論じた。

【対家庭】
 巨大地震に備え、家庭や地域でできることについて、朝日新聞は論じている。同紙は、家庭の備蓄は3日分が目安になるという。食糧や水に加え、携帯電話を充電する電池などを予め用意しておけば、買い占めの混乱も和らぐと主張。物資や人の支援が滞り、電気や水道もほとんど使えない、“最初の数日間をしのぐ”ことから考えようと呼びかけた。

【対企業】
 災害時、企業の力が重要であると朝日新聞は論じている。国や自治体だけではカバーしきれない、物資・物流・通信・インフラなどをまかなっているためだ。それを踏まえ、各企業に対しては、災害時の事業継続計画(BCP)を策定することを提案している。もちろんただ策定するだけではなく、「有効な訓練を通して、非常事態に対応できる能力を高めることこそが重要」とも指摘している。実際、東日本大震災後、事業再開の時期を左右した要因は、BCPの有無ではなく、実際的な訓練をしていたことなどが影響していたという。

【対自治体・政府】
 まず朝日新聞は、自治体に対しては、蓄えを小分けにしておくこと、ほかの自治体と後方支援の協定を結ぶことを提案している。加えて、災害時の物資供給協定を流通業界などと結んでいる自治体の例を挙げ、こうした取り組みを加速させる必要があるとも述べている。
 読売新聞は、建物の耐震強化や津波に備えた避難ルート整備など、「減災」に向けた自治体・政府の基本的な取り組みを求めている。さらのそのためにも、補助金で耐震化を促進する「南海トラフ巨大地震対策特別措置法案」を成立させるよう、国会に求めている。
 産経新聞も同様に基本的対策の充実を求めている。さらに国が主導すべき課題として、「大規模地震対策特別措置法(大震法)」の見直しを挙げた。現行法は東海地震の「直前予知」を目指しているが、改正により、南海トラフ地震も対象とした柔軟な対応を可能とするよう求めている。

Text by NewSphere 編集部