春闘評価で明らかになった日本各紙の目線の違いとは

 2013年春闘の集中回答日である13日、自動車などの主要企業から、労組の年間一時金要求に満額回答が相次いだ。また自動車、電機ともに主要企業は定期昇給を維持した。
 賃金底上げの背景と影響、今後の課題について、 日本各紙(朝日・読売・産経)はそれぞれの切り口から論じている。

 賃上げそのものについては、各紙は共通して評価する姿勢である。読売新聞は「アベノミクス」によるデフレ脱却への期待が背景にあると分析。産経新聞は、安倍政権の賃上げ要請施策が効果的だったとみている(賃上げ表明企業は官邸HPに名前を掲載される)。また朝日新聞は、賃上げ要請の影響にふれつつも、“人件費をコスト削減の対象とばかり捉えてきた”経営に対する反省の兆しに期待しているようだ。

 一方、各紙の指摘する課題と提言は、方向性が異なっている。

 朝日新聞は、対企業目線で、格差是正が必要と主張する。背景には、日本では特にサービス産業で非正規・低賃金労働が多く、「賃金デフレ」が進んでいたと指摘。中小企業と大企業の賃金格差にも触れている。そのうえで、中小企業で事業革新と人材強化が進めば雇用拡大にもつながると主張し、格差是正と中小企業の成長をかみあわせた経済成長に期待する論調だ。

 読売新聞は、対政府目線で、「3本の矢」による日本経済活性化の加速を求めている。同紙は、「アベノミクス」はまだ期待感が先行しており、実体経済の回復はまだだとみている。そのため、政府・日銀の連携強化や、政府の成長戦略での成長産業育成などで、着実に景気回復を達成していかならない、と強調している。

 産経新聞は、対労組目線といえる。 “横並びで交渉する春闘”の見直しを主張しているためだ。今年は業績改善が見込める自動車労組が「ベースアップ」を求めなかったことを挙げ、横並びを脱することが、従業員一人ひとりのためになるはずと論じている。

Text by NewSphere 編集部