AIで故人に再会 進化する中国のAI技術力
「もう二度と会えないあの人に会いたい」
大切な人を亡くした経験がある方ならば、一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。
故人を悼む祭日である清明節が近付く中国では今、AIで故人を再現する「AI復活」に注目が集まっています。
故人を蘇らせる中国の「AI復活」
中国の清明節では、日本のお盆のようにお墓参りやお供え物をして亡くなった祖先を祀る伝統文化があります。
そんな清明節の新しい過ごし方として注目されているのが「AI復活」です。
「AI復活」は今やあらゆるEコマースプラットフォームで購入可能となっており、価格帯は日本円にして200円から20万円と幅広くなっています。
現地メディアである上観新聞によると、「AI復活商品」は写真上の人物の表情を少し動かすだけの安価なものと、専門的なAI技術を用いて故人をデータベース上に再現し、まるで生者のように会話できるようにする高級なものと2つに別れています。
同メディアはAI復活業界の最先端を走る「AI復活師」の張泽伟氏にインタビューを実施。
張氏によると、AI復活を依頼する顧客は両親の死に目に会えなかった子供や、一人っ子を亡くした親等、故人と再開することに人一倍強い思いを抱いている人が多いそうです。
張氏が手がける複雑なデータベースを用いたAI復活は需要が高い一方で、実は全依頼である約5000件のうち、60%程しか受注ができていません。
なぜならAIには故人の生前の動画や音声記録、交友関係や人生遍歴まで膨大な資料が必要となるからです。
この現状に対し、張氏は技術の発展に伴い今後はより少ない資料でも復活が可能になると主張します。
しかし、AI復活業界の未来に対し、中国では経済発展、法律による制限、心理的問題の3つの観点から消極的な予測が立てられています。
まず経済発展の側面では、AI復活にかかる費用の高さが業界の発展を妨げると考えられています。
したがって、中国の行動技術者の間ではAI復活よりもクローンやバーチャルリアリティの方に流入するのが主流となっているようです。
法律面では「スター復活」が特に問題となっています。
AI復活の需要はそれぞれの親戚に留まらず、既に亡くなった有名スターの復活を望む顧客もいます。
しかし、現地メディアの湖北経観によると、中国の法律では死者の肖像権が遺族に所属するため、無断で「スター復活」を行うことは違法です。
しかし莫大な「スター復活」の需要に対し、水面下で受注する技術者が少なからず存在するため、今後AI復活業界全体が摘発対象となる可能性があります。
最後に、心理的問題に関して、同メディアによるとAI復活は「インターネットヘロイン」と同じで中毒になる可能性があると指摘されています。
大切な人を喪ったことによる精神的な痛みをAI復活で紛らわすのではなく、専門的な心理治療を受けて現実に立ち向かうべきだと、同メディアの取材に対し専門家は主張します。
中国で誰もが購入できる商品となった故人の「AI復活」。
その展望には様々な見方がありますが、今後中国国外にも身近なものとして広がる可能性は高いと言えるでしょう。
私達がAmazonや楽天で「AI復活」を購入できる日も近いかもしれません。