「ついにトヨタから流れ変えるEV」復活C-HR、米メディア好感

トヨタ自動車

 北米トヨタが、C-HRをEVの姿で復活させる。新型C-HRは338hpのAWDを搭載し、航続距離は約467キロを確保。北米でのトヨタ第2のEVとして、2026年に登場する見込みだ。

◆かつてのC-HRとは一線を画す高性能EV SUVに
 かつてのC-HRは北米市場で、ひっそりと消えていった。カー・アンド・ドライバー誌は「初代トヨタC-HRを覚えていない人のために振り返ると、前輪駆動のみのサブコンパクトSUVで、奇抜なデザインと2万5000ドル強の価格で販売され、北米では何の前触れもなく姿を消した」と伝えている。

 今回復活するC-HRは、先代から完全に姿を変えた。新型C-HRはトヨタのe-TNGAプラットフォームを基盤とした本格EVで、デュアルモーターによる全輪駆動を採用し、最大出力338hpを誇る。0-100km/h加速はわずか5秒程度だ。

 走行性能に加え、航続距離も現代のEV水準を満たす。74.7kWhのバッテリーを搭載し、満充電で約467キロ走行可能とトヨタは発表している。DC急速充電は最大150kWに対応し、バッテリー残量10%から80%までの充電が約30分で完了する。

◆洗練されたデザインと充実の装備
 外観デザインも大きく進化し、先代の個性的なスタイリングから一転、かなり洗練された印象だ。モータートレンド誌は「前モデルより格段に高級感がある」と評価している。

 特徴的なフロントと流れるようなシルエットが印象的な新型モデルは、「ハンマーヘッド」と呼ばれるフロントデザインと鋭く刻まれたボディライン、そしてクーペ風のリアルーフが特徴だ。ハッチ下の荷室容量は約719リットルで、刷新されたトヨタbZ(旧bZ4X)よりわずかに小さい。

 室内は現代的なデジタルコックピットで上質感を演出。デジタルメーターと14.0インチのタッチ式インフォテインメントシステムを搭載している。SEとXSEの2グレードが用意され、全モデルに前席ヒーター、電動調節式ドライバーシート、パーキングセンサー、電動リフトゲートが標準装備となる。

◆「競合よりも魅力的」との声
 デザイン面では他社製のEVより魅力的だという評価も出ている。ドライブ誌は新型C-HRの市場での立ち位置について、「見た目が秀逸だ。試乗したところ(シボレー)エクイノックスEVは気に入ったが、撮影は楽しめなかった」と述べ、長いホイールベースと「まるでダックスフントのような不格好なプロポーション」があだになっていると指摘。「C-HRの雰囲気にずっとひかれる」と結論づけた。

 同価格帯の電気自動車と比べると、航続距離でも互角に戦える見込みだ。競合車との比較では、約3万5000ドル(約510万円)前後のEV市場において、エクイノックスEVが513キロ、ヒョンデ コナ エレクトリックが約420キロなどと同誌は指摘。「これまでトヨタのEVは、価格に見合う競争力を欠いていた。だが、復活したC-HRと改良されたbZは、航続距離の大幅な向上によって、その流れをついに変えようとしている」と述べる。

 発売時期と価格はまだ明らかになっていない。トヨタによると、新型C-HRは2026年中に販売開始予定だが、価格は未発表だ。カー・アンド・ドライバー誌は、SEグレードが約3万5000ドル(約500万円)、XSEが約3万8000ドル(約540万円)からになると予測している。

 EVに慎重姿勢を示してきたトヨタだが、新型C-HRの売れ行き次第では、将来の方向性に変化があるかもしれない。

Text by 青葉やまと