ディーゼルモデルに匹敵する性能 人気いすゞD-MAXに初のEVモデル

Isuzu UK

 いすゞが初のEVピックアップトラック「D-MAX EV」をイギリスで発表した。ディーゼルモデルと同等の牽引(けんいん)力と積載量を維持しながら、フルタイム4WDシステムを採用する。2026年に市場投入される予定だ。

◆電動化でもタフさは健在
 EVの弱点とされる航続距離について、D-MAX EVは実用的な性能を確保している。66.9kWhのバッテリーを搭載し、WLTPモード走行距離は約263キロを実現している。充電性能については50kWのDC急速充電に対応しており、バッテリー残量20%から80%までの充電を約1時間で済ませる。

 動力性能も従来のディーゼルモデルに引けを取らない。前後2つの電気モーターによるフルタイム4WDシステムを採用し、最高出力140kW(190PS)と最大トルク325Nmを発生する。これにより0-100キロ加速は10.1秒、最高速度は時速129キロ以上の性能を実現した。

 ピックアップトラックの真価を問われるのが積載性能と牽引能力だが、これも十分に確保されているようだ。米エレクトレック誌は、「これは獣だ」との記事を掲載。1トン以上の積載能力と3.5トンの牽引能力を有し、ディーゼルモデルと同等の性能を実現していると報じている。同サイトによると、ディーゼルモデルの積載量は最大1200キロであることから、電動モデルもほぼ同等の性能を維持していることになる。

◆ディーゼルと同等のオフロード性能
 オフロード性能においても妥協はない。英オート・エクスプレス誌は、「オフロード性能と積載能力においてディーゼルモデルと同等の性能を発揮する」との記事を掲載した。地上高210mm、最大水深600mmの走破性能を確保し、オフロード性能も十分だと同誌はみる。ディーゼルモデルの最大地上高は235mmであるため、電動化によって若干低くなっているものの、実用上問題ないレベルを維持しているという。

 D-MAX EVは2025年後半から予約受付を開始し、デリバリーは2026年3月からとなる予定だ。現時点で価格は発表されていないが、英オートカー誌によると税抜3万6505ポンド(約700万円)のディーゼルモデルよりも高くなる見込みだという。

◆海外では辛口評価も
 いすゞ渾身のEVピックアップトラックだが、エレクトレックのアメリカ人と思われる読者からは厳しいコメントが聞かれた。

 「WLTPモードで航続距離が162マイルだとすれば、実際には通常、それよりもかなり短くなる」

 「165マイルのBEVとなっているが、BEVではないBYD Sharkや、実走行距離がはるかに長いフォード・ライトニングに対抗できるだろうか? 農場内を移動する程度ならともかく、それ以上の距離を牽引するのは無理だろう」

 「決して『獣』のような数字とはいえず、むしろかわいい子犬のようだ」

 欧州での実際の評価はどうなるか。最終的な評価は、発売後の現地での反応を待つことになりそうだ。

Text by 青葉やまと