「日本のサーブ」「想像より豪華」新型アウトランダー、米でも注目 ヤマハとのコラボも

三菱自動車

 三菱自動車のフラッグシップSUV「アウトランダー」の2025年モデルが、アメリカ市場で注目を集めている。2025年型フォルクスワーゲン・ティグアンが3列シート設定を廃止したことから、アウトランダーはコンパクトSUVセグメントで唯一7人乗りを標準装備するモデルとなった。

◆高級感と実用性を兼ね備えたコンパクトSUV
 4年ぶりの刷新となる今回、外観デザインの一新やディスプレイの大型化など、三菱は高級感を打ち出し、市場の想定を大幅に上回る改良を施した。

 2021年に登場した従来型の第4世代アウトランダーは、日産ローグのプラットフォームを採用しながらも独自の個性を確立してきた。米ドライブ誌のクリス・ツイ記者は「エンブレムを隠せば、つい最近までのインフィニティ車内と見分けがつかない」と室内の質感を絶賛している。また、その実用性と高級感から、「サーブ車のように静かに優れた車」と表現した。

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 2025年モデルではさらに、9インチから12.3インチへと大型化したディスプレイや、上位グレードではキルティングレザー、シートベンチレーション、アルミペダルなどを採用し、ラグジュアリーな雰囲気を一層高めた。

 さらに7人乗りのスペックは、同クラスのホンダCR-Vやトヨタ RAV4にない大きな強みだ。米カー&ドライバーは、3列目は「小さな子供向けで、必要なときだけ使う」とややスペースにゆとりがない点を率直に指摘しながらも、2列目であれば大人でもゆったり座れると評している。全体的には、「三菱車に対するイメージよりも洗練されていて快適な仕上がりで、中型SUVに乗り換えずに3列シートが必要な人にとっては、その堅実な中堅レベルの性能がより魅力的だろう」としている。

◆ヤマハが手掛ける特別なサウンドシステム
 このようにアウトランダーは、上質さと機能性を両立させ、独自の立ち位置を築いた。さらに独自色として、サウンドに注力している。ヤマハとの異色のコラボレーションが話題だ。

 アメリカ市場初となるヤマハ製オーディオシステムを搭載しており、これは同社の1万5000ドル(約220万円)クラスの高級スピーカー「NS-5000」の技術を応用した本格派だ。ドライブ誌によれば、最上級グレードでは12スピーカー・1650Wという贅沢な構成で、ヤマハの「サウンドマイスター」が車内の音響特性を細部まで調整しているという。

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 ドアには制振材を追加して共振を抑え、音の純度を高めた。さらに速度の変化だけでなく、ワイパーが高速に作動する雨天時や空調音に応じて自動調節する機能も備わるなど、通常ならば高級車でしか味わえない音質を実現している。

◆EV化でスバルと火花
 ベースグレードは3万1535ドル(約467万円)からと、アメリカで販売中のコンパクトSUVと比較して手頃な価格設定になっている。カー&ドライバーは、上位グレードは割高感があると指摘しつつも、「基本モデルなら妥当な価格だ」との評価だ。

 一方、米自動車分析サイトのエドマンズは、競合モデルとして、スバルの2025年型フォレスターを挙げる。この年式からハイブリッド版が追加されたが、三菱もアウトランダーのプラグインハイブリッド版を発売中であり、この価格帯のSUVのEV化競争はますます激しくなりそうだ。

Text by 青葉やまと