15年ぶり刷新のトヨタ4ランナー、「3年前なら完全な…」米誌が挙げる懸念点

Toyota Motor Sales, U.S.A., Inc.

 北米トヨタが販売するSUVの4ランナーが、15年ぶりとなる6世代目へと全面刷新された。新型ランドクルーザーやレクサスGXと同じ、TNGA-Fプラットフォームを採用している。

◆ハイブリッドモデル投入でトルク感が向上
 新型4ランナーは、パワートレーンを大幅に刷新した。これまでの4.0リットルV6エンジンに代わり、2.4リットル直列4気筒ターボエンジンを搭載した。これにより、最高出力は278hp、最大トルクは430Nmを発揮する。
 
 さらに、電動モーターを組み合わせたハイブリッドモデルも新たにラインナップに加わり、システム合計出力は326hp、最大トルクは630Nmまで高められている。
 
 米ドライブ誌(1月28日)は、新型4ランナーの走行性能について「これまでの顕著なブレーキ時の沈み込みやコーナリング時の傾きが大幅に改善され、良好な車体の挙動制御と適度な乗り心地を実現している」と評価している。
 
 走破性能については、「最上級のオフロード仕様であるTRDプロモデルは、高性能サスペンションメーカーのフォックス製2.5インチショックアブソーバーを装備し、高速での悪路走破性が格段に向上した」と改善点を挙げる。

◆トリムで大きく異なる乗り味
 米自動車情報サイトの『エドマンズ』(1月28日)は、新型4ランナーの走行性能を検証している。ハイブリッドモデルについて、「低速域での追加トルクが体感できる」としながらも、「高速巡航時は標準型、ハイブリッド型ともにエンジンへの負荷が増大する」と指摘している。

 さらに「ベーシックなSR5から84センチ径の大型タイヤを装着した本格オフロード仕様まで、9つのグレードで乗り味が大きく異なる」とも指摘した。購入者に対しては、グレードの下位モデルが多くの顧客に適しており、実用的な「TRD Off-Road」がスイートスポットだとアドバイスしている。

 一方、ドライブ誌は、新型4ランナーの信頼性に懸念を示している。新型に搭載された2.4リットルターボエンジンについて「3年前に登場していれば完全な成功だったかもしれない」と指摘。現時点で懸念が拭えない理由として、「ランドクルーザーではピストンスラップの問題が報告され、タコマでは8速自動変速機の不具合が指摘されている」と、同じプラットフォームを採用する車種での不具合を挙げている。

◆より快適になった室内空間
 その他の改善ポイントとして、居住性が向上した。米カー&ドライバー誌は、後部座席のレッグスペースが従来から約4.8センチ拡大され、身長180センチ程度の乗員でも余裕を持って座れるとコメントしている。また、デジタル化が大幅に進み、上級グレードには12.3インチのデジタルメーターと大型センターディスプレイを標準装備する。
 
 価格設定は、エントリーモデルのSR5が4万2220ドル(約640万円)となる。最上級で高性能オフロード仕様のTRDプロと、アドベンチャー志向のトレイルハンターが同価格の6万8350ドル(約1040万円)で設定され、これらを含めた全9グレードで展開する。

Text by 青葉やまと