「歩行者に危険」サイバートラック、英国で押収される
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現在主に北米で販売されている、米電気自動車(EV)大手テスラのサイバートラックが、イギリスで押収された。型式認証を取得しておらず本来は販売できないが、個人輸入し不正に公道を走行していた模様だ。
◆海外登録車をイギリスに持ち込み
イギリスのグレーター・マンチェスター警察は、マンチェスター近郊のベリーでサイバートラックを押収した。16日夜、ベリー市内のホワイトフィールド地区で当該車両を発見し、運転手の取り締まりを行った。車両の価格は約4万8000ポンド(約920万円)だ。英BBCによると、この車両は海外で登録され、保険も海外での加入になっていたという。運転していたのはイギリス在住者だった。
英インデペンデント紙は、グレーター・マンチェスター警察の交通部門が大手スーパーマーケットチェーンのモリソンズ前で「この特徴的な車両を発見し、警察車両がサイバートラックを取り囲んだ」と伝える。
#SEIZED | Officers from #GMPTransportUnit stopped this Tesla Cybertruck in #Whitefield last night 🚔
The driver was a permanent UK resident, but the vehicle was registered and insured abroad, which is prohibited in the UK.
The car was later seized and the driver was reported. pic.twitter.com/IvfeloAFXb
— Bury Police (GMP) (@GMPBuryPolice) January 17, 2025
マンチェスター警察の広報担当者は、同紙の取材に対し、「車両は押収後、押収車両対策班であるオペレーション・ウルヴァリンに引き継がれた。所有者は返還を受けるにあたり、所有権と適切な保険の証明を提示する必要があるが、それは困難だろう。車両の処遇については、この手続きが完了するまで言及できない」と説明している。
◆「歩行者に危険」当局は憂慮
グレーター・マンチェスター警察は公式フェイスブックページで、「サイバートラックはイギリスでの公道走行は認められておらず、適合性証明書も備えていない」と指摘した。さらに「一部の人には些細なことに思えるかもしれないが、この車両との衝突事故が発生した場合、ほかの道路利用者や歩行者の安全性に正当な懸念が存在する」と危険性を強調する。
BBCによると、サイバートラックは中東やヨーロッパでプロモーション活動を展開しており、2024年にはイギリスの著名な自動車イベント「グッドウッド・スピードフェスティバル」にも出展されていた。ただし、イギリスの道路安全基準の認証を取得しておらず、現時点でイギリス国内の一般道での走行は認められていない。
◆ほかのサイバートラック輸入の試み
米カー・スクープ誌によると、「テスラのサイバートラックは、イギリスやヨーロッパでは正式に販売されていない」ものの、「一部の熱心なオーナーたちが大西洋を越えて輸入し、現地の規制に適合させようと試みている」という。
同メディアによると、イギリスの有名ユーチューバーで自動車ラッピング事業を手掛けるヤンニ・シャラランボス氏も、まずはアルバニアのナンバープレートをつける形でサイバートラックを購入し、その後イギリスでの登録を目指しているという。
現地の法規制に適合させるため、ヤンニ氏のサイバートラックには「鋭利なエッジを和らげるためのゴム製モールディング、ヘッドライトとテールライト、ミラーキャップへの黄色いウインカーの追加」などの改造が施されている。熱心な改造にもかかわらず、現在では重量の超過が問題となり、イギリス当局からの認可取得は不透明な状況だという。
独特なスタイリングのサイバートラックを、ぜひ自国で運転したいと考える自動車ファンは少なからず存在するようだが、安全面の軽視は問題だ。