インドで注目されるトヨタの躍進「ようやく足場を固めた」 販売台数40%増
◆SUVと多目的車が人気を牽引
インドでのトヨタ人気は、主に2車種が牽引(けんいん)している。ハイラックスとベースを共有する海外向け3列SUV「フォーチュナー」、およびMPV(多目的乗用車)と呼ばれ日本のミニバンに近い「イノーバ・クリスタ」だ。いずれも新興国市場をターゲットに据えた世界戦略モデル「IMV(Innovative International Multi-purpose Vehicle:革新的・国際的・多目的用途車)」に位置づけられる。
ヒンドゥスタン・タイムズ紙は、両車種がSUVとMPVのセグメントで売れ筋となっており、さらに2022年から投入しているミッドサイズSUV「アーバンクルーザー・ハイライダー」の牽引力も高いと評価する。
フォーブス誌は、スズキとの国際バートナーシップもトヨタに追い風となっており、現地で人気のマルチ・スズキ(スズキのインド子会社)とトヨタのブランド力が融合したと評価している。また、他社が急速にBEVにシフトするなか、ガソリン、CNG(圧縮天然ガス)、ディーゼル、ハイブリッドなど、多様なパワートレーンを用意するラインナップもトヨタ独自の魅力だ。
◆インドでの成功の秘訣は
インドにおける粘り強い取り組みが、事業開始から四半世紀を経て結実したようだ。野村総合研究所で自動車小売部門の分析を率いるハーシュバルダン・シャルマ氏はフォーブス誌に対し、「粘り強さ、妥協のない品質、持続可能な成長展開」が功を奏したとの分析を示している。現地に即した市場セグメントへの注力、強力なブランドイメージ、そして適切な製品戦略なども成功に貢献したとの見方だ。
波に乗るトヨタは、インド市場に積極的に投資する姿勢だ。トヨタは11月、約330億ルピー(約580億円)を投じ、インドに第3の生産拠点を設立すると発表した。年間10万台の生産能力を持ち、既存の拠点を合わせ年間計40万台超の生産体制を整える。
日本貿易振興機構(JETRO)によると、インドの乗用車国内販売台数は2023年3月までの1年間で389万台超となり、前年度比26.7%の急成長をみせた。拡大する市場で覇権を手にできるか、トヨタは正念場を迎えようとしている。
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