ピザの箱を捨てさせない新手法 スイス、ドイツで実用化

reCIRCLE

◆箱用に1500円上乗せし、返却させる
 何回も繰り返し使えるリサークル・ボックス・ピザは、ピザを購入したレストランに返却しないといけない。レストランのスタッフが回収するのは手間がかかる。そこで、注文した客に返却してもらえるよう、箱に10フラン(約1500円)課金し、箱を返却したら返金する仕組みにした。リサークル専用アプリやウーバーイーツなどでピザを注文する際、このデポジットも払う。箱の返却期限は決まっていない。1年後でも返却すれば10フランが返ってくる。箱がたとえ破損してしまっても、返却すれば返金される。

宅配ピザに「リサークル・ボックス・ピザ」を利用しているスイスのレストラン

 冒頭のジャスト・イートの調査によると、スイスの宅配ピザの平均価格は18.65フラン(2800円)なので、高めのデポジットだ。しかし、消費者の反応は悪くない。フリーペーパー20ミヌーテンのオンライン調査(1972人回答)では、リサークル・ボックス・ピザについて53%が「すごくいいアイデア」、13%が「絶対に試してみる」と肯定的で、21%が「段ボール製の箱のままがいい」という結果だった(残りは宅配ピザを利用しないと回答)。

 実際、提携先のレストランの数は増えている。同社に問い合わせたところ、3月初めの時点で約60のパートナーがリサークル・ボックス・ピザを導入しているという。

◆ドイツでも同様の試み
 ドイツでも同様の宅配ピザの箱が実用化されている。rezzeatというサービスの箱は100回以上使用でき、耐久性を保つためピザは皿に移して切る。ピザ注文は専用アプリを使い、箱の利用はペナルティー式だ。2週間以内にレストランに箱を返却するか、新たな配達の際に配達員に箱を渡さなければ、10ユーロ(約1500円)課金される。返却日が近づくとリマインダーで知らせてくれる。2週間過ぎると、箱を返却しても返金はない。この先、返却期限を1ユーロで1週間延長できるようにするという。

 ほかには、ピザボウが、プラスチックの皿に紙の中敷きを入れて使う、再利用可能なピザの箱を開発し、レストランなどが導入し始めている。500回以上使えるプラスチック製の緑色の皿は2枚組にし、蓋としても使う。ピザボウの利点は返却の手間がかからないこと。ピザが配達されたときに購入者が中敷きごとピザを取り出し、箱は配達員にその場で返却する。

 ドイツでは今年1月より、プラスチックごみを減らすための対策として、デリバリーサービスやレストランに宅配・テイクアウトで再利用可能なパッケージも提供することが新たに義務付けられた。ピザは引き続き段ボール箱やアルミホイルで販売することができるが、ごみ削減の機運が益々高まるなか、再利用できるピザの箱への関心は高まっていくのではないだろうか。

Text by 岩澤 里美