ピザの箱を捨てさせない新手法 スイス、ドイツで実用化

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 チーズフォンデュの本場スイスでは、チーズ料理の定番のピザも人気だ。レストランや軽食スタンドで気軽に食べられ、宅配ピザも充実している。スイスのフードデリバリーサービス、ジャスト・イートの調査によると、スイスで1番人気があるデリバリーフードはピザだ(2021年10月までの1年半以上のデータを分析)。その人気の裏では膨大なピザの箱が使い捨てにされている。そのなか、エコな取り組みとして何度も使える新しいパッケージが登場した。

◆大量廃棄されるデリバリーピザの箱
 宅配ピザの箱は汚れやすい。油などが付いた箱はリサイクルには向かないため、ごみとして捨てられている。スイスでは、推定で年間4千万個の宅配・テイクアウトのピザの箱が捨てられているという。

 この箱の廃棄を減らそうと考案されたのが、各種エコパッケージを開発しているリサークル社の再利用可能な「リサークル・ボックス・ピザ」だ。素材は耐熱性に優れたPBTというプラスチックとガラスビーズで、スイスで製造している。1箱200回以上使用できる。箱は傷つきにくいため、ピザを皿に移して切らなくてもいい。宅配されたピザを温めたいときは、箱に入れたまま120度のオーブンで温められる。電子レンジでも、食器洗浄機でも洗える。この箱は2022年6月末より同社の提携レストランで使われている。

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 プラスチックは石油由来なのに、なぜエコロジカルなのか。同社は、プラスチックは機能面に優れ、リサイクル可能で価格も手頃で、現時点では食業界で使うエコなパッケージには最適だと判断した。竹やジャガイモの皮などを原料としたバイオプラスチックは生分解性だが、健康に害を及ぼす添加物が含まれていることが多いため選ばなかった。

Text by 岩澤 里美